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《ノルマ》オロヴェーゾ:中くらいの役(5) [ノルマ]

バス歌手が歌う、小さい役より、ちょっと大きい、中くらいの役シリーズ第5。
ベッリーニ作曲《ノルマ 》、ドゥルイドの高僧でノルマの父オロヴェーゾもその一つでしょう。このオペラは、作曲者自身が最も愛した作品で、ベッリーニの特色が遺憾なく発揮された最大傑作といわれています。
ノルマの父オロヴェーゾは、堂々とした歌手がやればさまになるという程度の役だとおもいますが、若手のバス歌手がつとめることが多いようです。ライモンディも若い時に歌っていますが、他のメインの演目のついでに、というかんじでしょうか。出番も、最初と最後にちょろっと歌うだけですので。

 実演は、若い時にNYメトで、ビッグな方々との共演です。一回目は、29歳の時、サザランド、ホーン、ベルゴンツィ、ニ回目は、31歳で、カバリエ、コッソット、コッスッタ。めずらしく、スタジオ録音(30歳)もあります。ノルマの"Casta Diva"を聴きたい方が多いでしょうけど、ほとんど注目されないオロヴェーゾの最初と最後の歌をアップします。

1幕 導入部、オロヴェーゾと合唱
 ドゥルイドの僧や兵士達が夜中に彼らの聖域の森に集まる。
オロヴェーゾは、そこで、荘厳にいかめしい口調で歌い始め、最後には、ローマ軍打倒を願い、勇ましい進軍の大合唱となり、聖なる丘をめざして森の中に消えていく。

ATTO PRIMO - SCENA I:OROVESO "Ite sul colle, o Druidi,"


2幕:第5場(10番)合唱とアリア
 場面は聖域の森。オロヴェーゾは、ローマの圧政を絶て、と兵士達を鼓舞する。兵士達は、ノルマはまだ起ち上がる気はないのかと尋ねる。オロヴェーゾは、時が来るまで、平静を装って、一気に敵を倒すつもりだとさとす。劇的な合唱でこの場は終る。
お父さんのオロヴェーゾは、娘ノルマに敵であるローマの総督ポリオーネとの間に子供が二人もいるという事実をまだしりません。

ATTO SECONDO - SCENA V:OROVESO "Guerrieri! A voi venirne"

※参考:CD詳細と公演記録、オロヴェーゾの歌の歌詞

 《ノルマ》は、いわゆるプリマドンナ・オペラと呼ばれるオペラで、ソプラノ歌手なら一度は歌ってみたいオペラのようです。映像もいろいろ出ています。
 つい最近も、マリア・ドラゴーニの《ノルマ》がCSで放送されましたが、ノルマ以外がさえません。やっぱり、オランジュ音楽祭のカバリエの《ノルマ》が全キャスト揃っているとおもいます。特にポリオーネのヴィッカーズが、この正直と言えば正直な男、ポリオーネにピッタリで、その言動をあきれながらみてしまいます。(edcさんのブログで、ヴィッカーズポリオーネの勇姿?がみられます。TBから行ってみてください)
 来年でしたか、ホセ・クーラがポリオーネを歌う予定のようです。男らしいというかちょっと粗野で憎めないヴィッカーズのようなポリオーネになるのかな、と想像を膨らませています。(なんと、ノルマはグルベローヴァ、アダルジーザはガランチャのようですヨ)

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コメント 11

euridice

また便乗させていただきましたm(_ _)m
by euridice (2006-10-01 08:57) 

keyaki

こちらこそ、取り上げて下さってありがとうございます。
ヴィッカーズのポリオーネのビデオクリップ見て来ましたが、けっこう好きですよ。こういう男くさいポリオーネっていないんですよね。暗いからいいのかもしれませんけど。(笑
今見ると、これって、カルト教団から愛する人を救うという信念に燃えている男ですね。
by keyaki (2006-10-01 09:16) 

euridice

>ヴィッカーズポリオーネの勇姿
確かに「勇姿」ですね。声、歌い方、男の魅力がありますねぇ...
仲間のローマ軍人も悪くないし。暗闇がプラスに作用してます。

クリップの最後、片手を挙げたポーズは、ヴェローナ野外劇場(オランジュでしたっけ?)にある彫像そのままだと思います。
by euridice (2006-10-02 08:57) 

ヴァラリン

わぁ!一度聴いてみたかったんです!!オロヴェーゾ。←これでデビューしてますから(^^;>ダレカさん。
>出番も、最初と最後にちょろっと歌うだけ
なんですね。なるほどなるほど( ..)φメモメモ

この《中くらいの役》シリーズ、イタリアオペラにあまり馴染みのない私には本当に勉強になります。一度でも歌ったことがある役はどういう役なのか、興味がありますし。続き、楽しみにしてますね!!
by ヴァラリン (2006-10-02 11:33) 

keyaki

ヴァラリンさん
お初でしたか、そうですよね、「清らかな女神」は有名ですけど、あとはね.....
ぜひ、脳内変換して楽しんで下さい。
この歌って、ソリストとしては、いい気分だとおもいますよ。合唱団を従えて歌うわけですからね。
by keyaki (2006-10-02 19:08) 

TARO

このCDは私の無人島の10枚(でも10点でも)に入る1セットなわけですが、う~ん確かにオロヴェーゾに注目して聞いたことは無かったですねえ。というかポリオーネにすら関心を持って聞いたことは無かったかも。

ローマは征服地のガリア人に対しては、寛大に対処したと言うか、征服者として支配するのではなく、むしろローマ人との混血政策をとったわけですが、ただドルイド教の高位の聖職者だけは迫害したんですよね。ですからこんなことにならなくても、ノルマとオロヴェーゾは、いずれ殺されるか、せいぜいうまくいってブリテン島に逃げ出せるかと言ったところでしょうか(?)。
by TARO (2006-10-03 21:00) 

keyaki

TAROさん、
カバリエさんお目当てでも、無人島に持っていって頂けるとは嬉しいですね。
オロヴェーゾに注目しているのは私くらいでしょうね。

>ローマ人との混血政策
子供達は無事に育つということですね。
by keyaki (2006-10-03 21:24) 

Cecilia

先日ベッリーニの記事を書いた際に発見したので載せたところです。
コッソットの話題で書いた直後だったので。
ライモンディが出てるじゃない・・・と思っていましたが、さすがもうすでにチェック済みだったのですね!(当然ですね。)
カバリエ・・・声楽を習いたての頃、私の声はカバリエを目指して勉強したほうがいい・・と言われました。(単に声質の点です。)
それからカバリエとフレディ・マーキュリー(クイーン)が共演している「バルセロナ」というCDを持っています。

ノルマはなかなか上演が難しいようですね。

TBさせていただきます。
by Cecilia (2007-01-09 05:35) 

keyaki

Ceciliaさん
カバリエは、リリック・ソプラノにコロラトゥーラではなくアジリタが少々混ざった声なんだそうですね。

>カバリエを目指して勉強
それは、すばらしいことじゃないですか。
持ってうまれた声がすばらしいということですよね。
by keyaki (2007-01-09 20:23) 

Cecilia

ライモンディとバーバラ・ヘンドリックスがフィガロで共演しているCD・・・ずっと気になっていましたが、keyakiさんのHPに載っていましたね。
私は聴いたことがないのですが、これはビデオがあるのでしょうか?
by Cecilia (2007-01-09 20:32) 

keyaki

Ceciliaさん
残念ながら、このフィガロのCDはスタジオ録音なんですよ。
by keyaki (2007-01-09 21:52) 

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