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オペラファンならニヤリ!とする映画(9)《フィッツカラルド》続き:エルナーニ [映画:オペラ関連]

1982年ヴェルナー・ヘルツォーク監督《フィッツカラルド》の続き。この映画は、アマゾンの奥地イキトスに歌劇場を建ててカルーソーを呼びたい、というオペラ狂の男のお話です。
左の写真は、ヨーロッパの農園主たちが、ゴム景気で得た巨万の富を投じ建設したマナウスのアマゾナス劇場(1896年に完成)。映画の初っ端のシーンでも、カルーソーが客演した、ということになっていますが、そういう事実は確認されておらず、伝説と考えたほうがいいようです。カルーソーはともかくとして、ヨーロッパからオペラの一座が来て、華やかにオペラが上演されていたのは間違いないようです。
たまたま先日届いたオペラ雑誌にこのマナウスのアマゾナス劇場での公演が取り上げられていました。南米で最も重要なオペラフェスティバルが行われていて、演目は、ヴェルディとロッシーニの二つの《オテロ》、マスネの《ウェルテル》、プッチーニの《ジャンニスキッキ》、指揮は、Luiz Fernando Malheiro。普段は、オペラ以外の演劇、ダンス、フォルクローレの公演が行われているようです。
ネットで検索するといろいろな情報が得られますが、それがどの程度信頼できるものなのか判断が難しいところです。当時のゴム景気がどのようなものであったか、元ボリビア大使の文章をみつけましたので、マナウスとイキトスに関する部分を抜粋してご紹介します。

ゴムブームの到来:
..... 19世紀のマナオスはバラと呼ばれる小部落に過ぎなかったが、ラテックスを燻製する技術が開発され、輸出が可能となったため、水深の深い同地は1833年にマナオスと改名されて州都となった。....1870年には3,000トン、世紀末には2万トンに、また最盛期の1908年から10年にかけては8万トンに膨れ上がっていた。人口も5万人に膨れ上がり、全長16キロの大通りには南米最初の路面電車が走っていた。ボストンでもまだ乗合馬車が走っていた時代に、マナオスでは電化されていたのである。
 マナオスの黄金伝説の象徴的存在となった「アマゾナス劇場」(Teatro Amazonas)をはじめとする3つもの劇場が建設され、オペラが代わる代わる上演された。アマゾナス劇場はイタリア産の大理石作りの桁外れに豪華なオペラ・ハウスで、一旦英国で組み立てられた後分解され、大西洋を超えて運ばれてきたものであった。1897年にはマナオスとリヴァプールの間に蒸気船による大西洋横断定期航路が開設された。
 マナオスには及ばないものの、ペルーのアマゾン地帯の中心都市イキトスも人口25,000の都会に膨れ上がり、1,000トン級の外洋船が入港し、パリの高級ホテルが解体のうえ運ばれて移築された。
その後、東南アジアでもゴムが採れるようになりマナウスは衰退し、現在は、アマゾンのジャングルツァーの拠点として有名だそうです。
さて、話を元に戻しますと、《フィッツカラルド》は、ヴェルディの《エルナーニ》にはじまり、ベリーニの《清教徒 》で終わります。今回は、映画最後のシーン、アマゾンを下る船上で《清教徒 》の有名な"A te, o cara, "が演奏され、夢は破れたが、満面の笑みをたたえるフィッツカラルドをご覧下さい。(右上写真:ビデオクリップ)
クラウス・キンスキーのこの素晴しい笑顔は、苦労の連続の撮影がやっと終わったという心からの笑顔のようにもみえます。
(フィッツカラルドの役は3人目で、あまりに過酷なロケにさすがのキンスキーも音を上げて、やめたい、と申し出たところ、ヘルツォーク監督が、やめるというのなら、お前を殺して自分も死ぬ、と言ったとか言わないとか)
《清教徒》1幕5場

ARTURO
A te, o cara, amor talora
Mi guidò furtivo e in pianto;
Or mi guida a te d'accanto
Tra la gioia e l'esultar.

ELVIRA
O contento!
ARTURO
Ah, mio bene!
ELVIRA
Ah! mio Arturo! Or son tua!
ARTURO
Ah, Elvira mia, sì, mia tu sei!
GIORGIO, VALTON
Senza occaso quest'aurora
Mai null'ombra, o duol vi dia,
Santa in voi la fiamma sia,
Pace ogno v'allieti il cor!

CASTELLANI, CASTELLANE
Cielo arridi a voti miei,
Benedici a tanto amor.

ARTURO
Al brillar di sì bell'ora,
Se rammento il mio tormento
Si raddoppia il mio contento,
M'è più caro il palpitar d'amor.

GIORGIO, VALTON
Senza occaso quest'aurora
Mai null'ombra, o duol vi dia,
Santa in voi la fiamma sia,
Pace ogno v'allieti il cor!
■右上の写真をクリックするとパヴァロッティの"A te, o cara, "が聴けます。共演者は、トゥッチ、プロッティ、ライモンディ、1968年ライブ、音はよくない。パヴァロッティの高音がなにかと共鳴するかもしれませんので、音量を下げたほうがいいかもしれません。CD詳細はこちら。
関連記事:
■2006-07-30の記事《フィッツカラルド》:エルナーニ


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