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謎の写真:ドン・ジョヴァンニ [ドン・ジョヴァンニ]

"ウィーン国立歌劇場公演記録 1945-2005"について、開けてがっかり...と2006-05-16の記事に書きましたが、この左の写真の謎が解けました!
この謎の写真は、1988年発行の『ウィ―ン国立歌劇場 オペラの殿堂 高椅保夫/山崎睦著』の60頁に載っている4枚の写真のうちの1枚。若くて素敵なドン・ジョヴァンニじゃないですか.....。
しかし、これが、いつの公演で、共演者はだれだったのかずーっと気になっていました。
この本は、薄っぺらの写真集のような本ですが、ライモンディの写真を発見して買いました。その他《ドン・カルロ》のフィリッポ、《カルメン》のエスカミーリョの小さな写真もありましたし、コレクターとしては、内容に関係なく、即、買いです。

さて、この写真説明は、《ドン・ジョヴァンニ》プレミエ/1972.10.12 指揮/クリップス 演出・舞台・衣裳/ゼッフィレッリ  (3)ドン・ジョヴァンニのルッジェーロ・ライモンディ
この《ドン・ジョヴァンニ》に関する文章は次のようなものです。
ガムスイェーガー時代(1972〜76年)
......新インテンダントによる新時代の開幕プレミエは《ドン・ジョヴァンニ》で、ポネルと並ぶスパースター、フランコ・ゼッフィレッリが演出,装置(スダレがたくさん吊られている)衣裳を担当、ヨーゼフ・クリップスの指揮であった。シェピに代表される従来のドン・ジョヴァンニ像を持ってこの上演に臨んだ人は、テオ・アダムの演じるいささかむさ苦しいキャラクターに時代の違いを感じたことだろう。ペーター・シュライヤーの完璧な技巧と張りのある声に驚嘆したものである。
その後、ゼーフェルナー時代(1976〜82年)、マゼール時代(1982〜84年)、ゼーフェルナー時代(1984〜86年)、ドレーゼ/アッバード時代(1986〜年)と続きますが、1984.9.16プレミエの《ドン・ジョヴァンニ》については、なんの記載もありませんでした。
そこで、私は、テオ・アダムと同時期にウィーンで舞台にたったものと思っていました。ところが、この公演記録でわかったことは、R.ライモンディのウィーンでの初ドン・ジョヴァンニは、1984年9月16日だった のです。つまりこの写真は、プレミエ/1984.9.16 指揮/H.ホルライザー 演出/ Bletchacher  舞台・衣裳は1974年のプロダクション(ゼッフィレッリ)のものでした。
R.ライモンディは、この演出でプレミエを含めて10公演に出演。下記の表は1972年と1984年のプレミエのキャストです。
プレミエ:1972.10.121984.9.16
指揮:クリップスH.ホルライザー
演出・舞台・衣裳:ゼッフィレッリ Bletchacher(1972の舞台衣裳)
ドン・ジョヴァンニ:テオ・アダムルッジェーロ・ライモンディ
騎士長:カール・リッダーブッシュクルト・リドル
ドンナ・アンナ:ユディス・ベックマンキャロル・バネス
ドン・オッターヴィオ:ペーター・シュライヤー フランシスコ・アライザ
ドンナ・エルヴィラ:テレサ・ツィリス=ガラエウジェニア・モルドヴェアヌ
レポレロ:エツィオ・フラジェロヴァルター・ベリー
ツェルリーナ:エディット・マティス同じ

R.ライモンディのウィーンでのドン・ジョヴァンニデビューは42歳、ちょっと遅いですが、1973年からずっとミュンヘンで大人気だったということが原因かもしれません。昨年の来日公演もこのゼッフィレッリの演出舞台衣裳だったようです。古くさいという評もあったようですが....残念ながら私は見ていませんが、この写真と同じ衣裳だったとおもいます。
《ドン・ジョヴァンニ》に関しては、その後1990.5.13プレミエのリュック・ボンディ演出、クラウディオ・アバド指揮で、歌っています。これは、BSでも放送され、当時としては、かなり物議をかもした演出でした。現在の《ドン・ジョヴァンニ》の多様な演出の先駆けといえるもかもしれません。
こちらにボンディ演出の写真があります。
参考書籍:
音楽之友社発行、高椅保夫/山崎睦著 『ウィ―ン国立歌劇場 オペラの殿堂』
 『ウィーン国立歌劇場公演記録 1945-2005』


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Sardanapalus

お、あんな内容でも役に立つこともあるのですね。買ってよかったと思える瞬間ではないでしょうか?なるほど、衣装は持ち越しで演出だけ変えたのですか。衣装代にまで予算が回らなかったのかしら?しかし、それを今でも使い続けるウィーンって(^^;)

>ライモンディのウィーンでのドン・ジョヴァンニデビューは42歳
意外ですね~。ミュンヘンで歌いすぎてたから、に私も一票です(笑)まあ、でもキーンリーサイドのウィーンでのジョヴァンニデビューは46歳ですから、それよりは若いですよ…。どうでもいいですがキーンリーサイドの方は新しい演出(アン・デア・ウィーン劇場で上演済)・指揮・歌手が噛み合わず期待はずれの初日だったと批判されてました(^_^;)
by Sardanapalus (2006-05-29 17:28) 

ヴァラリン

謎解決、おめでとうございます~♪
アダムは'26生まれですし、RRさんよりも一世代前…でしょうね。

>いささかむさ苦しいキャラクター

ああ…わかる気が(笑)
アリア集でシャンパンの歌(カタログの歌も歌ってました^^;これは、レパートリーにはしていないと思いますが)を聴いただけですけど、どう聴いてもヴォータンが宴会が一杯ひっかけて、余興で歌っているような気がするんですよねぇ…
by ヴァラリン (2006-05-29 17:59) 

keyaki

Sardanapalusさん、
そう、役にたったんですよ。
まとめて歌手の名前が書いてあるのも同じ演出でどういう歌手達が歌ったのかがわかって面白いです。
しかし、レパートリーシステムってなんかプレミエで歌う場合は、リハーサルがあるのでしょうが、あとは流れ作業で「来た、歌った、帰った...」というかんじで、みんなで作り上げるというかんじではないですね。

>キーンリーサイドのウィーンでのジョヴァンニ
この公演記録にはでてないのですが、デ・シモーネの変なカツラのやつですか?
by keyaki (2006-05-29 19:33) 

keyaki

ヴァラリンさん
>謎解決、おめでとうございます~♪
ありがとうございま〜ぁす。
一頁の中に写真が4枚あるんですけど、テオ・アダムの写真は小さくて横向きのが1枚だけ、なぜかライモンディの写真のほうが大きいんですよ。

>アダムは'26生まれ
ということは46歳、やっぱり男は40過ぎてからのほうが魅力的ということかな。
ちなみにウィーンでは、1993年(66か67歳)が最後の出演で、魔笛の弁者になっています。
by keyaki (2006-05-29 19:53) 

Sardanapalus

新しいスキン、最近の晴天を髣髴とさせる爽やかな感じで良いですね♪

>レパートリーシステム
>流れ作業で「来た、歌った、帰った...」
でしょうね。知り合いがいないと公演中孤立しそう…

>キーンリーサイドのウィーンでのジョヴァンニ
>デ・シモーネの変なカツラのやつ
です。しかも、リハーサル無しの公演なのに、あのごちゃごちゃした演出の経験者は0人…やる気あるんでしょうかね?(^_^;)
by Sardanapalus (2006-05-30 16:30) 

keyaki

Sardanapalusさん
スキンもいつまでもチューリップでは季節感に欠けるかな,と思って。
>デ・シモーネの変なカツラのやつ
ということは、ゼッフィレッリのと変なカツラのを交互にやってるってことかな。
リハーサルなしで、やれちゃうんですから、プロのオペラ歌手って、やっぱりすごいですよね。

リュック・ボンディ演出の舞台がその後一度も使われてないのは、アンデアウィーン用に作った大掛かりな装置なので国立歌劇場の方には持って行けないのかしら。今でも充分斬新だと思うんですけどね。
by keyaki (2006-05-31 00:58) 

サンフランシスコ人

「ペーター・シュライヤーの完璧な技巧と張りのある声に驚嘆したものである....」

ペーター・シュライヤー死去...

http://www.sfchronicle.com/news/world/article/German-opera-singer-conductor-Schreier-dies-at-84-14932519.php

US & World // World News
German opera singer, conductor Schreier dies at 84
Dec. 26, 2019 Updated: Dec. 26, 2019 10:54 a.m.

by サンフランシスコ人 (2019-12-27 08:09) 

ぽん

シュライヤー氏のご冥福をお祈りします。

私がオペラの録音を聞きはじめた頃はモーツァルトは彼の独壇場でしたが、当時はそれが当たり前のように感じられて、その傑出した歌声と知的で端正な歌唱の意義がよくわかっていませんでした。
録音ではグラモフォンのベーム指揮「後宮からの逃走」(73年)、ビデオではザルツブルグ音楽祭のポンネル演出レヴァイン指揮「魔笛」(82年収録)が特に印象に残っています。

実演ではリサイタルやバッハでのソリストとして名演を聞かせてもらいました。オペラでは88年のバイエルン歌劇場来日公演「マイスタージンガー」のダービット役や、96年のリンデンオパーの「ラインの黄金」のローゲが印象に残っています。

by ぽん (2019-12-31 18:04) 

サンフランシスコ人

「ペーター・シュライヤー死去.....」

http://www.swr.de/swr2/musik-klassik/Jahresrueckblick-Maenner-in-Machtpositionen-und-Anna-Netrebkos-Insta-Account-Das-waren-die-Klassik-Aufreger,av-o1186373-100.html

Ebenso einzigartig war Peter Schreier, nach Fritz Wunderlich der deutsche Tenor schlechthin: Lyrisch, innig, aufrichtig hat er gesungen, immer grundiert vom unschuldigen Kreuzchor-Knabenton. Sie alle werden wir vermissen!

ドイツ語を大学で勉強してよかった!
by サンフランシスコ人 (2020-01-01 02:05) 

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