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ヴェルディ《イエルサレム》 [RRと女声歌手]

追記)なんと偶然ですが、トリノの公演のヒロイン役のソプラノ歌手マリア・ドラゴーニ(写真左下)の《ノルマ》がCSで放送されます。edcさん、情報ありがとうございます。

ヴェルディの《ロンバルディ》《イエルザレム》《ジェルザレム》の関係を簡単に説明します。
《イェルザレム JÉRUSALEM:1847.11.26パリ・オペラ座初演》《ジェルザレムGERUSALEMME:1850.12.26ミラノ・スカラ座》は仏語と伊語の違い。《イエルザレム》作曲の経緯は、新作をパリ・オペラに依頼されたが、全くの新作は時間的に無理だったので、《ロンバルディ》を全面的に改訂することにしたのです。台本はかなり変えていますが、音楽は転用されている部分が多く、違うものだが似ているというような奇妙なかんじです。
お話しからいいますと《ロンバルディ》は、ことの発端からその後に続く話が、2代にわたっていてかなりややこしのですが、《イェルザレム 》は、簡単になってはいるのですが、ロジェ(伊語版ではルッジェーロ、ロンバルディではパガーノにあたる)の嫉妬の動機が、なんとも不可思議。詳しくは、オペラ御殿をご覧下さい。簡単なあらすじもあります。
1995年トリノの《イエルザレム》のリハーサルのビデオクリップを、ご紹介します。
Ruggero Raimondi Provaより
◇第4幕2場:伯爵の陣営:
隠者(ロジェ)が、瀕死の重傷を負い登場、ロジェであることを明かし、全てを告白
◇第1幕:姪のエレナと Béarn の子爵ガストンの結婚が許されたことを知り、嫉妬に燃えガストン殺害を企てる
◇第2幕1場:パレスチナのラムラの洞窟
4年後、ロジェは罪を悔い隠者となり神の許しを請う
◇第1幕:十字軍出陣を祝って
左上のビデオクリップ
◇第2幕1場:パレスチナのラムラの洞窟:
エレナは、ガストンが生きていることを知り、喜びの歌を歌う。
♪生きているのね なんてうれしいことでしょう これ以上の歓びはありません 神様はおまもりくだっさたのですね あの方は潔白だったのです 私の魂はあの方のことを呼び あの方を想い続けました 私の心は喜びに満ちあふれています♪
※ソプラノさんが歌っている間の後の合唱団に注目! 合唱団のみなさん、新進のソリストさんが歌いきるかどうか固唾をのんで見守る、というかんじですね。このアリアはかなり難しいもののようです。指揮者のブルーノ・カンパネラも「よかったよ、よくやったマリア」とご満足の様子です。
※edcさんのコメントでこのソプラノ歌手のマリア・ドラゴーニの情報をもらいました
◇第4幕2場:伯爵の陣営:
戦いに勝ったガストンと伯爵に、瀕死のロジェが全てを告白し、伯爵は彼を許し、勝利を讃えて幕となる。
ソリスト一同&合唱:
♪慈悲深い神が名誉とともに命を返してくれた 偉大なる勝利の神を讃えよう 無敵の神を讃えよう 神は強き者たちの救いであり道しるべであり、栄光である♪
※右上の写真は、嫉妬に燃えるロジェ、左下の写真は4年後の洞窟の人(隠者)となったロジェ、このくらい変身しないとね......
関連記事::
▼2006-04-28 1965年ライブ《Verdi:ジェルザレム》
▼2005-11-02 ザッカリア. .ほか(2)パガーノ-
▼2005-11-03最新の「ロンバルディ」と余談

▼ビデオクリップはQuickTimeで視聴できます(下記サイトでダウンロード)
ウィンドウズ:http://www.apple.com/jp/quicktime/download/win.html
マックユーザー: http://www.apple.com/jp/quicktime/download/mac.html
注意! QuickTime7がインストールできないシステムの場合は一部再生できないものもありますが、QuickTime6をダウンロードして下さい。
ウィンドウズ:http://www.apple.com/support/downloads/quicktime652forwindows.html

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コメント 4

euridice

>マリア・ドラゴーニ
スカイパーフェクトTV、シアターテレビで放送する「ノルマ」のヒロインだそうです。
「どうも精神的にバランスが悪く、舞台をキャンセルすることも多いため、大劇場に出演できなくなった彼女が、2000年、久しぶりにサヴォーナで見せた好演です。」だって。こちらをどうぞ。

http://theatertv.co.jp/theater_0605/thu.html
by euridice (2006-05-03 07:56) 

助六

「ロンバルディ」と仏語「ジェリュザレム」は、改作とはいっても随分書き換え・書き加えられてるし、でもやっぱり旋律材料は同じだし、おまけに同じ材料も使用箇所は移動してたり、カットの問題も加わって、ボンヤリ聞いてると同じなんだか違うんだかワケが分からない奇妙な気分になっちゃいますね。やっぱり「ロンバルディ」の方が初期ヴェルディらしい直線的エネルギーはより直裁に出てるとは思いますが、じゃあ「ロンバルディ」の方が優れてるかと言うとちょっと考えてしまうし、ストーリーはより簡潔な「ジェリュザレム」の方が作品としてまとまりが良いかというとそうとも思えず、やはり奇妙な気分になってしまいます。

貴重な記録、いつもながらありがたく拝見しました。ドラゴーニ、中々頑張ってますね。彼女の他、D・デッシーとD・ロンギの3人は80年代後半に出てきた将来性豊かな才能だったけど、重い役をベルカントからヴェリズモまで歌って揃って燃え尽きてしまったような。かろうじて生き残ってるのはデッシーだけですね。ドラゴーニは私は聴くチャンスに恵まれませんでした。本人、劇場監督、マネージャー、批評、聴衆それぞれに責任があるのでしょうが、こんな大変かつ魅力ある音楽書いた作曲家も罪作りかも。彼女たち以外でも「死体の山累々」とかいった言葉が思い浮かびちょっと悲しくなります。我々聞き手もベルガンサやバルトリみたいに慎重さ一本やりでも、欲求不満覚えたりもしますしね。
by 助六 (2006-05-03 08:16) 

keyaki

euridiceさん、情報ありがとうございます。
マリア・ドラゴーニさん、どうなっちゃのかな...なんてちょっと気になっていたんです。
このリハーサルのビデオ、大好きなんですヨ。うしろの合唱団の人が楽譜を見て、すごいわね、というように隣の人と顔を見合わせたり、、本人も、やった!というかんじで嬉しそうで。
by keyaki (2006-05-03 09:26) 

keyaki

助六 さん、
このオペラはマイナーなので、CDを買っても日本語の解説もなかったりですし、「ロンバルディ」の方は、スカラ座のビデオを見ても、??でした。オロンテがカレーラスでしたが、なんでこんなちょい役に、、と思いました。「ロンバルディ」の主役はパガーノ(バス)ですよね。
その点、「ジェリュザレム」は、ガストン(T)とエレナ(S)が中心というかんじがします。両方知っていると、似ているのに違うので戸惑いますね。

>彼女の他、D・デッシーとD・ロンギの3人は80年代後半に出てきた将来性豊かな才能だったけど

D・ロンギはお名前も知りませんが(ライモンディと共演してないのかな)、デッシーは、かなり注意深く選択しているように見受けられますが、精神的に不安定になっていた時期があるようですね。プライヴェートな理由かも知れませんが。
しかし、歌手の中でもオペラ歌手さんには、本当に頭が下がります。第一線で活躍し続けることは容易なことではないですものね。
by keyaki (2006-05-03 10:03) 

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