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レナータ・スコット(1934- )☆シチリアの晩鐘アリア [RRと女声歌手]

R.ライモンディと共演した女性歌手シリーズ第5弾、ソプラノのレナータ・スコット
R.ライモンディがデビューしたときはすでにプリマでしたので、共演させていただいたというべきかもしれませんが。
《ロンバルディ》《シチリアの晩鐘》《ファウスト》のライブ録音がリリースされています。
写真左上)は、得意中の得意《蝶々夫人》

1934年2月24日、イタリアのサヴォーナで生まれる。子供の頃から歌うことが大好きでだったが、劇場に行くような余裕のある家庭ではなく、ラジオでもオペラを聴いたことはなかった。彼女の歌の才能に気づいた母方の伯父が、12才の時にはじめてオペラ劇場に連れて行き、ティート・ゴッビの《リゴレット》を見る。(ジルダは誰だったのか記憶にないそうです)その時からオペラ歌手になろうと決心、声楽の勉強をはじめる。
1953年19才で、新人歌手のコンクールで優勝。カタラーニの《ヴァリー》のワルターでスカラ座デビュー(主役はデル・モナコとテバルディ)。
順風満帆に思えたが、2、3年すると安定した技巧的な基礎に欠けていることがネックになり、スランプに陥る。「技巧がゼロだと終始、声楽的な問題が頭から離れず、自由な解釈ができないといういい見本でした......」
アルフレード・クラウスが、自身の声楽教師メルセデス・ロパードを紹介、彼女のもとで、技巧と発声の改善、更に、いかに音楽を理解するかを7ヶ月学んだ後、舞台に復帰。
1956年ロンドンで国際デビューを果たし、翌年から、スカラ座に10シーズン連続出場、各地の劇場でも活躍しイタリアでの名声を確立。
NYメトでも、1965年に《蝶々夫人》でデビュー以来1987年まで毎シーズン大きな持ち役で出演し、大変人気があった。
彼女は、ほとんど完全に声の妙技にのみ頼るオペラは、「曲芸のよう」で、大嫌いだという。カラス以降「事態は改善され始めました。私もオペラとは、その作曲者達が頭に画いたとおりのリアリティあふれるドラマだ、とする考えを普及するため、自分なりに全力をつくしてきたつもりです。」と語っている。 彼女はレパートリーの中でも、《シチリアの晩鐘》のエレーナ公女はヴェルディの役柄中最も難しいし、持ち役の中でも最大の難役だと述べている。「この役では、歌手としてのほとんど全能力が試されます。パワー、柔らかさ,ライン、息の長さ、高音、低音、ドラマチックな歌唱、コロラトゥーラ、全体が4時間半という長丁場なので、スタミナと回復力も必要です。」 「スカラ座の名歌手たち」「ブラヴォー、ディーヴァ」から

写真左下)4幕、アリーゴの裏切りで捕らえられ牢獄で歌う"至難のアリア"

♫エレナのアリア
アリーゴの裏切りで、エレナ公女とプロチダはモンフォルテに捕らえられる。アリーゴは、モンフォルテが実の父だと知らされ、どうしていいかわからず迷って裏切ったことを告白する。それを聞いたエレナ公女は《すべてを許して、あなたを愛します....私はあなたのことを想いながら死んで行きます....》と切々と歌う
このアリアの最後のカデンツァは、3点doから低いfa♯まで2オクターブ半を一気にかけ下りる至難なもので、この低音はソプラノにはあまりにも困難なため、5度上で止めて歌うことが多い。(このライブはムーティ指揮なので、楽譜どおりでしょうか) 歌詞


♫ボレロ
写真右)終幕での婚礼の場面のシチリアーナ ☆歌詞
この《シチリアーナ》は一般に《ボレロ》として有名。このオペラの中でエレナ公女が歌う唯一の幸せと喜びに満ちあふれたソロで、コロラトゥーラの技巧が要求される。
スコットによれば、このコロラトゥーラ歌唱を夜中の11時半、スペイン公演だと深夜2時に歌わなければならないこともあるので、《シチリアの晩鐘》に限っては、マチネの公演を好んでいる、、そうです。
CD
Verdi: I Lombardi Alla Prima Crociata / Gavazzeni, Pavarotti, Scotto, et al
Verdi: I Vespri Siciliani
R.ライモンディと共演の主な公演     
◇1969年ローマ ガヴァッツェーニ指揮《ロンバルディ》ライブCD
◇1970年ジェノヴァ グセッラ指揮《グノーのファウスト》ライブCD
◇1970年NYメト フランチ指揮《ランメルモールのルチア》キャスト
◇1970年スカラ ガヴァッツェーニ指揮《シチリアの晩鐘》キャストCD
◇1971年NYメト ロンバール指揮《ファウスト》キャスト
◇1978年フィレンツェ ムーティ指揮《シチリアの晩鐘》ライブCD
◇1982年NYメト レヴァイン指揮《シチリアの晩鐘》キャスト
◇1982年NYメト レヴァイン指揮《マクベス》キャスト
※ティート・ゴッビ:1915.10.24-1984.03.05 バリトン

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コメント 4

euridice

スコットと言えば、じゃがいもちゃんの愛称があったというころ、NHKイタリアオペラのテレビ放送で見たほんとに若くて初々しいカレーラスがアルフレートの、ヴィオレッタ@椿姫が印象的でした。歌と演技が容姿を超越していて、ちゃんと佳人薄命の美女を納得させてくれました^^!
by euridice (2006-02-09 09:30) 

keyaki

一時期出産の影響で太ったようですね。
彼女自身が、太っていては、ミミとかヴィオレッタはダメって言ってますね。
NHKのイタオペ、ルチアとファウストも彼女でしたよね。
by keyaki (2006-02-09 14:26) 

TARO

スコットとクラウスッテ、デビュー時からの知り合いだったんですね。「ファウスト」も素晴らしい組み合わせでしたが(放送でしか聞いてませんが)、89年だったかな、二人のジョイント・コンサートが東京文化会館であって、素晴らしかったですよ。
なんとなくクラウスが保護者みたいな感じで、彼女を包んでるという雰囲気があったんですが、このエピソードで納得です。
by TARO (2006-02-10 01:43) 

keyaki

TAROさん、スコットとクラウスのジョイントコンサートとは、これまたすばらしいですね。

なんでもその時、スコットは、それまでに4人の声楽教師についていたそうですが、何を学ぶべきか誰一人教えることができなかったそうです。そこで、その時、椿姫で共演していたクラウスが、自分の先生を紹介してくれたんだそうです。

レオ・ヌッチもライモンディの先生を紹介してもらった、、という話をしてましたけど、自分に合った先生に出会うことはとても重要なことでしょうね、歌手生命を左右しますものね。
フリットリも最初についた先生に声をだめにされて、それを元に戻すのに2年間かかったと話してましたよ。
by keyaki (2006-02-10 22:25) 

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