SSブログ

オペラファンならニヤリ!とする映画(5)仮面の中のアリア [映画:オペラ関連]

仮面の中のアリア1988年ジェラール・コルビオ監督《仮面の中のアリア》。その後、ジェラール・コルビオ監督作品は、《カストラート》《王は踊る》と続きます。
LDからDVD化されてるんですね。一般受けするということでしょうか。それにしても《仮面の中のアリア》、うまいタイトルをつけたものです。原題は、《Le Maitre Musique 音楽の先生》、"ベルギーが世界に誇るオペラ歌手ホセ・ファン・ダムが、映画初出演にして音楽家の内面を見事に演じて話題となった" 映画です。

 往年の名歌手ジョアキム(ファン・ダム)は、自ら余命を察して、リサイタルで、突然引退を発表する。
 彼の良き理解者でピアノ伴奏者でもあるエステルと共に、田舎の邸で引退生活を送っていたが、彼に憧れを抱く親友の娘ソフィと偶然街で拾った美声のジャンの二人に、声楽のレッスンをはじめることになる。そして二人の弟子は、彼のかつてのライバルで、彼に挑戦して声を潰したスコティ公爵主宰のコンテストに出場することになる。 公爵は、ジャンと自分の弟子のアルカスの声がそっくりなのに気づき、仮面をつけて二人を対決させる。愛する二人の弟子の優勝を知る事なく、ジョアキムは静かに息をひきとる。
 約90分の映画の中に、マーラー、シューベルト、シューマン、モーツァルト、ヴェルディ、ベッリーニ、プッチーニ、オッフェンバックの音楽がちりばめられている。
 仮面をつけての歌合戦の《多くの哀しみに》と、マーラーの《私はこの世に忘れられ》が印象的。 左の歌合戦のビデオクリップ、容量制限があるのでいいところで終わっていますが、もちろん高音(多分ハイC)がひっかかるんです

※左上ビデオクリップ:《ビアンカとフェルナンド》から
※右上ビデオクリップ:《リュッケルとの詩による五つの歌曲"私はこの世に忘れられ"》
※きのけんさんのヴァン・ダムのインタビューが、こちらにあります。

ちょうど、私が、オペラに傾き始めて間もない頃で、さかんにTVのスポットで宣伝してましたし、ロージー監督の《ドン・ジョヴァンニ》のレポレッロ役のホセ・ファン・ダム主演だし、絶対見たい!と思いました。期待にたがわずワクワクドキドキ、ヘェーーなるほど、しんみり、ホロリ、面白かったです。その当時、まだ、 聴いた事のないオペラや歌曲もいろいろ出てきて、CDを買ったりしました。
先日、久しぶりにLDをひっぱりだして見ましたが、オペラずれしてきたのか、ちょっとこそばゆい感じ。オペラずれしていない方にお勧めです。
引退表明する時の最後の歌はリゴレットの《悪魔め、鬼め!》なのに昔の自分のレコードを聞くシーンがありますが、これがトスカの《妙なる調和》だったり、、、あまり固い事はいわず楽しみましょうという映画です。
コンテストでもいろいろ妨害工作があったり、マンガチックな仮面での対決があって、スリルもあります。
nice!(1)  コメント(24)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 24

TARO

うわー、このマーラーのシーン、全然覚えてない・・・
どんなシーンでしたっけ?
私もヴァン・ダムが出るなら絶対見なければと、見に行きました。
ロージーのレポレッロとは雰囲気は勿論、顔まで全く違っていて、さすがだなあと。
by TARO (2005-12-06 13:39) 

Cecilia

初めまして。
euridiceさんのところでよくお見かけしていました。
声楽やっています。
この映画を見ましたし、その時買ったCDを持っています。〈私にとってのCDの一枚目。)
最近「オペラ座の怪人」にはまっていますが、「オペラ」「仮面」・・・というキーワードでこの映画のことを思い出して、もう一度見たいと思っていたところです!
記事にしてくださってありがとうございます。
keyakiさんのブログ、時々拝見していました。
これからも時々お邪魔します。
by Cecilia (2005-12-06 14:58) 

Sardanapalus

面白そうな映画ですね!これは邦題の方が内容にぴったり、という例の一つでしょう。クリップも素敵です~。マーラーの「私はこの世に忘れられ」は、誰が歌っているのか分かりますか?当然ヴァン・ダムかしら?

この監督、「カストラート」も「王は踊る」もなかなか印象的な映画だったので、今度探してみたいと思いますが、う~ん、イギリスにあるかなぁ(笑)
by Sardanapalus (2005-12-06 18:21) 

keyaki

TAROさん、マーラーのこの歌曲は、2、3カ所で歌われています。ビデオクリップはラストの場面です。
この曲が気に入って、CDを買いましたが、映画の中で、字幕付きの方がいいですね。というか、相乗効果がありますね。
by keyaki (2005-12-07 02:30) 

keyaki

Ceciliaさん、ようこそ
いつでもお気軽に、いらして下さい。
私もedcさんのところから、お邪魔させて頂いています。
すてきなブログですね。

>〈私にとってのCDの一枚目。)
LPからCDに変わって行った時期ですね。

>「オペラ座の怪人」
ミュージカル苦手な私も、「オペラ座の怪人」は大好きです。
by keyaki (2005-12-07 02:40) 

keyaki

>Sardanapalusさんがご覧になってないとは、意外でした。
カストラートと比べるとサッパリしていますが、オペラ好きには、つっこみどころもあるし、ジーンとくるものもあります。

>マーラーの「私はこの世に忘れられ」は、誰が歌っているのか分かりますか?当然ヴァン・ダムかしら?
その通りヴァン・ダムさんです。
この曲が気に入って、この歌曲集のCDを買いに行きましたが、フィーッシャー=ディスカウのしかなかくて、彼のを買いました。でも、ヴァン・ダムのバス・バリトンの声の歌唱の方が好きだな。
by keyaki (2005-12-07 02:58) 

きのけん

…そういや、僕のやったヴァン・ダムのインタビューにこのフィルムの話が出てきますね。「あのフィルムは日本でもかなりの評判になっているそうですね… 」なんて言ってますが、そうだったんですか?…。

直接のアクセスは以下から:
http://perso.wanadoo.fr/kinoken2/intv/intv_contents/intv_vdam.html
きのけん
by きのけん (2005-12-07 04:07) 

きのけん

↑:なんで唐突にカラヤンの話が出てくるのかと思ったら、そういえば、あれは『レコ芸』用のカラヤン追悼インタビューだったんです。ただあまりに話がはずんじゃったもんで、勿体ないから、大分後いなってR・シュトラウス協会の年報に一挙全文を載せて貰いました。

keyakiさん:
>フィーッシャー=ディスカウのしかなかくて、彼のを買いました。でも、ヴァン・ダムのバス・バリトンの声の歌唱の方が好きだな。

ヴァン・ダムのフィッシャー=ディスカウ論が開陳されてますね…。
ライモンディがマルゴワールとの共演で半音低い音程がなかなかとれなかった、という話も、バロック歌唱に関するヴァン・ダムさんの意見が聞けます。
きのけん
by きのけん (2005-12-07 04:22) 

Sardanapalus

>>マーラーの「私はこの世に忘れられ」
>その通りヴァン・ダムさんです
ほっ、当たってて良かった。好きな部類の声なので、結構音源聞いたりしてるんですけど、ドイツ語の歌唱は聴いたこと無いなぁ。彼も色んな言語のオペラにひっぱりだこの人ですよね。

>バス・バリトンの声の歌唱の方が好き
私も、この曲はバス・バリトンの歌手で聴きたいです。女声なら当然ドラマティックなアルトで。何だか、そういう雰囲気の曲ですよね?
by Sardanapalus (2005-12-07 07:20) 

keyaki

きのけんさん、どうもです。
私はヴァン・ダムのインタビュー記事はとっくに読ませて頂きましたが、記事にリンクはらせていただきました。
かなり長いので、もう一度じっくり読ませて頂きます。
by keyaki (2005-12-07 11:00) 

TARO

ヴァン・ダムの「リュッケルト歌曲集」と「亡き子をしのぶ歌」はジャン・クロード・カサドゥシュ指揮でCDがあります。(フランスの Forlane から出ていましたが、いまもしかするとレーベル変ってるかも。)

実はこれずいぶん昔に買ったんですが、私は逆にフィッシャー=ディースカウの劇的な歌唱で慣れちゃってたので、ヴァン・ダムはあまりに淡々としすぎててちょっと物足りなかったです。
by TARO (2005-12-07 11:46) 

Sardanapalus

TAROさん>
ヴァン・ダムの「リュッケルト歌曲集」のCDがあるのですか!情報ありがとうございます。し、しかしイギリスでは探しにくそうなレーベルだわ(笑)

>ヴァン・ダムはあまりに淡々としすぎてて
私は逆にF=ディースカウは劇的すぎて好みではないので、ヴァン・ダムは気に入りそうです!
by Sardanapalus (2005-12-07 18:33) 

TARO

Sardanapalusさん

パリまで買出しに行かれるというのは?(笑
もっとも世界中のCDが一番揃ってるのは東京かもしれませんが。

カバリエのCDなど全く同じ音源が、あるときForlaneで出ていたかと思えば、RCAで出ていたりして、いったいどうなってるのかよく分からないんですが、このヴァン・ダムのマーラーに関しては、Forlaneレーベルでしか見たことないので、レーベル頼りにすればネット・ショッピングとかでも捜せるかもです。

私の場合は、初めて聞いたこの曲がF=ディースカウとベームのDG盤だったので、それですっかり固定されちゃったみたいです。
by TARO (2005-12-07 23:59) 

Sardanapalus

TAROさん>
>パリまで買出し
!そうですね。次回パリに行ったときに探してみます。あと、やっぱりネットが一番簡単でしょうね。アドバイスありがとうございます。

>世界中のCDが一番揃ってるのは東京
これは冗談ではなくてその通りだと思いますよ!こっちのCD屋の品揃えは時々首を傾げたくなりますからね~。日本からの輸入版なんてのもあったりして(笑)
by Sardanapalus (2005-12-08 20:03) 

きのけん

>Forlane
仏 FORLANEというレーベルは昨年だかに倒産して、今存在しません。音源が今どうなっているのか不明なんですが、一部は同社の録音技師だったジャン=マルク・レネさんが自ら買い取って所有しているという話。ひょっとしたら例によってどっかの投資会社が二束三文で買い取って、ブリリアント・クラシックスみたいな超廉価レーベルから出てくる可能性もあります。一頃なら、ユニヴァーサルがこの種の音源を買い漁っていたことがあるんですが、今では親グループのヴィヴェンディ=ユニヴァーサルの経営陣が代わっているんで、どうだか?…。その数年前に倒産した(…というか親会社のAOL=タイム・ワーナーが手を退いちゃった)エラートの音源が、突然ユニヴァーサルから出たりして、あっと驚いたこともありますが、今レコード会社はどこがどうなってるのか、よく判らんなあ(笑)…。
 このレーベルにはヴァン・ダムが沢山録れてるのをはじめ、フェリシティー・ロット、アン・マレイ、フィリップ・レングリッジなんかのなかなかいいリサイタル盤があったりするんだよね。
きのけん
by きのけん (2005-12-10 20:47) 

TARO

きのけんさん

え、えーっ!Forlane倒産してたんですか。
びっくり・・・
本当にフランスのレーベルって、最近は移動が激しくて、音楽雑誌をちゃんとチェックしてないと、なんだかよくわからなくなってきます。
以前もバーヨの新譜があったので「おっ!」と思ったら、昔 Auvidis-Valois から出てたのが naive から再発されてただけだったり。
by TARO (2005-12-11 14:34) 

Cecilia

CDを発見したので、記事を書きました。(もう輸入盤しかないようで。)
その中でこちらの記事をリンクさせていただきました。
あらためて記事を拝見し、「カストラート」と「王は踊る」と同じ監督だったことに気がつきました。(「カストラート」は春に記事を書きました。)
今私が最も見たいのが「王は踊る」なのです。
リュリの音楽も大好きです。以前「シラノ・ド・ベルジュラク」を観ましたが、その中の音楽もリュリのようだったなあ、と気になっていて、もう一度観てみたいです。
「アリア」という映画でもリュリのオペラ曲が使われていました。
気になるのでもう一度観たいです。
by Cecilia (2006-09-03 10:07) 

keyaki

Ceciliaさん、リンクありがとうございます。こちらからTBさせていただきますね。
by keyaki (2006-09-03 12:03) 

たか

>きのけんさんのヴァン・ダムのインタビュー

これすごく面白いですね。実は私も声楽をやっていてバス・バリトンなのです。小さな公演ですが来年エスカミーリョを歌う予定です。ヴァン・ダムやライモンディのようには歌えませんが精一杯参考にしたいと思います。
by たか (2006-09-05 23:03) 

keyaki

たかさん、
>声楽をやっていて
わぁ、そうなんですか。どうリでいろいろご存知なんですね。

>きのけんさんのヴァン・ダムのインタビュー
きのけんさんのインタビューはどれも面白いですよね。ボリス・ゴドノフの撮影現場で、直撃インタビューをされているので、かなり前から、HPは知っていたのですが、ブログをはじめて、ご本人とお話できるなんて吃驚でした。ネットの威力ですね。
ブログでは、みなさんにいろいろ教えて頂いて嬉しいです。
by keyaki (2006-09-06 09:33) 

きのけん

 お礼!!…。
 うーむ、こんなことになるんなら、ベオグラードでライモンディさんのもやっときゃよかった!(苦笑)…。時間はたっぷりあったし、雑談で奥さんも入ってきて、随分お喋りしたんですが、テープを回してなかったんだよねえ{泣)…。
 ヴァン・ダムさんのは、最初、カラヤンが亡くなった直後だったんで、コメントをお願いして、折角だし勿体ないから20分だけ…なんて頼み込んじゃったら、今夜は何もないからいいよ!…なんて、結局2時間近くも喋り込んじゃったんです。
 普通、彼らは最初ちょっと構えてて、何かがきっかけになって、そのガードが外れちゃう一瞬ってのがインタヴューア冥利に尽きる瞬間なんですが。…例えばジェフリー・テイトのインタビューでグッドールの名前を出した途端、朝の歌手たちとのリハーサルでちょっと疲れたよ、ってな顔をしてたテイトさんが突然、機関銃のごとく喋りだした。45分間くらいで、それも昼飯を食いながら、あれだけ喋りまくったんだからスゴイよねえ…。
 ところが、ヴァン・ダムさんの場合は、そういう構えが全然なくて、のっけから、あっちのお喋りが止まらなくなっちゃった感じ。よっぽど機嫌がよかったのか?…、以前わりと気難しい人って印象だったんですが、そんなこと全然なくて、あんなに気持ちよくできたのも珍しかったですね。ただ、なにせ『レコ芸』はカラヤン追悼のコメントだけの予定だったんで、抜粋をほんのちょっぴり。勿体ないから、その数年後に、R・シュトラウス協会の年報に全文を載せていただきました。次回からはもうちょっと短いものをください、なんて叱られちゃったけど(笑)…。
きのけん
by きのけん (2006-09-06 18:37) 

たか

>きのけんさん
本当にありがとうございます。通訳を介していたのではこれだけのことは聞き出せないと思うので恐らくきのけんさんは語学が堪能でいらっしゃるのでしょうね。
ちなみにきのけんさんのホームページのトップページはどこになるのですか?トップページらしきページからはインタビューのページにどうやって入るのか分からなかったのですが、よろしかったら教えて下さい。

>keyakiさん
私は三流ですが、友人はもっと上手で藤原の友人がアルジェのイタリア女でバルツアのアンダーをやっていました。
by たか (2006-09-06 22:07) 

きのけん

>たかさん

 いえいえ、あんな古いものが未だお役に立ってるとは…こちらこそ光栄です!

>インタビューのページにどうやって入るのか

 …どうも、作り直すのが面倒なもんで、昔のままにしてあって申し訳ない。1頁を幾つかのフレームに分割するというのは、ナロウ・バンドの時代の異物でして、如何にしてHPを早急に開くか?…ということで開発された技術で、当時としてはこれができるのは高等技術とされていたんですが、ブロードバンドでは不必要になっちゃった技術なんです。つまり、複数のフレームを階層化している特別のページにリンクさせないと、一部分しか出てこないんですよね。
 というわけで、直接インタビュー集成のトップ頁に行くのは↓

http://perso.Orange.fr/kinoken2/intv/intv_acc.html

 HPのトップ頁から行く場合は:
下の「きのけん」(オレンジ色)>日本語あるいは仏語>INDEX>コンテンツ子細(「インタビュー集成」)>で上の頁が出ます。

 うー、やっぱし今ではしち面倒臭いですねえ(苦笑)。
 お礼かたがた、
きのけん
by きのけん (2006-09-07 08:34) 

たか

>きのけんさん
ありがとうございます。
そっかINDEXをクリックですか。言われてみればなんてことはないですが、やっぱりちょっと階層が深いかも(^^;
これから他の記事もたっぷり拝見させて頂きます!
by たか (2006-09-07 23:35) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。