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ドン・プロフォンド(オペラ、ランスへの旅)-Ruggero Raimondi Mensch und Maske- [Ankenbrand著RR仮面の人]

ドン・プロフォンド
1984年8月ペーザロのロッシーニ音楽祭で、ライモンディは、彼の、ロッシーニのブッフォの役のレパートリーに、「ランスへの旅」のドン・プロフォンドを新たに加えた。これは「世界初演」と呼ばれた。ライモンディの特別の友人であるクラウディオ・アバドが忘れられていたこの作品を復活させたのだ。

 ドン・プロフォンドは、哲学者で、この団体旅行のメンバーのひとりだ。一行は、カール十世の即位式のためにランスへ向かう途中、宿屋に泊まっている。この人物はちょっとバジリオを思わせるが、ドニゼッティのドゥルカマーラやモーツァルトのドン・アルフォンソをも彷彿とさせる。というのは、この人物は状況を観察していて、折りに触れて、短い簡潔なコメントをするのを楽しんでいるからだ。ロンコーニが、外見上、非常に機知に富んだ演出をした。すなわち、こんな演出だった。当時の温泉療法の指導員は、現代のレポーターにインタビューされた。ドン・プロフォンドは、多分もっとよいものが何もなかったので、一羽の小鳩ちゃんを延々と優しく撫でていた。ライモンディは、最後に一度、楽隠居の身ながら、たまには、働いていますとでもいうような感じでも、とても穏やかに、あいそよく、舞台に登場してくれた。彼はその大アリアで、最高におもしろくて愉快な、ドイツ人、フランス人、スペイン人、そして、ロシア人の紳士淑女のまねをして茶化し、ロッシーニの名人芸と力強いライモンディ的音色と響きを派手に披露した。ロッシーニ音楽院のホールの観客は、熱狂して叫び、足を踏み鳴らした。それでも、彼はこの拍手喝采を浴びた歌を繰り返さなかった。ミュンヘン時代は終わったようだ。

 これも、もうひとつの頂点だった。すなわち、理想的な体格、なんとなく重い足取りのイタリア人男性が、右、左と靴底を叩くような音を響かせ登場するや、観客全員を魅了し、嵐のような拍手喝采が巻き起こった。ライモンディは、柔和で陽気だった。悪魔的で野性的な雰囲気はみじんもなかった。こういうのは、めったに見られないから、観客はこれを大いに楽しんだ。彼は、結局アバドの希望に応じて、1984年は8月いっぱい、休みなしになったことを後悔しなかっただろう。海が彼をいい気分にさせていたのかもしれない。というのは、ペーザロからあまり遠くないところで目撃されたことがあったのだ。まるで、15 歳の頃、浜辺で奇麗な女の子たちの注意をひこうと、イタリアのテノールのアリアを大声で歌っていたみたいに・・・・
Ankenbrand著-Ruggero Raimondi Mensch und Maske-※オペラ好きの友人訳

音声ファイルが表示されていない場合は、コメント頂けるとありがたいです。
シドニー卿イギリス国歌
1992年ベルリン/S.レイミー  
終わりのカデンツァに注目
   
六重唱
2005年モンテカルロ  
   

※参考:《ランスへの旅》公演記録:Il Viaggio a Reims1984ー2005

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コメント 11

euridice

>音声ファイルが表示されていない
されません^^;
by euridice (2005-11-28 22:42) 

keyaki

euridice さん、ありがとう!
やっぱりダメですか、自分ではOKなんですけど。
今度は大丈夫だとおもいます。
by keyaki (2005-11-29 00:24) 

ヴァラリン

コソコソ(( ̄_|
ズル休み中で気が引けますが…お色直しにつられて出てきてしまいました。
見やすくてステキですね。
>>音声ファイルが表示されていない
ウィンドウズでは大丈夫ですよ。ランスへの旅、初めて聴きました(^^;
by ヴァラリン (2005-11-29 02:28) 

きのけん

Mac OS-9 & OS-Xの両方共OKでした。
きのけん
by きのけん (2005-11-29 03:32) 

euridice

クロワッサンとコーヒー、いい雰囲気ですね^^!
ヴァラリンさん、こんにちは。

ランスへの旅、ぼ〜〜と聴くのにぴったりかもです。
by euridice (2005-11-29 07:09) 

keyaki

みなさんありがとうございます。
最初は、ヤフーのブリーフケースにリンクしてみたんですよ。
これが使えれば、便利だなぁ・・と。
でもダメだったようで、いつも通りに直しました。
お騒がせしました。

>クロワッサンとコーヒー
クロワッサンとベーグルですよね。ベーグルって、美味しいと思いませんが、急に流行って来ましたね。
フランスとNYが一皿にのっかてる・・・
ベーグルはオーストリアのユダヤ人パン職人が作ったのが始まりだそうですが、東欧のユダヤ人がNYに渡って、云々、ユダヤ人のベーグル職人だけにベーグルを焼く特権があって、代々受け継がれてきたそうです。
なぁーーんて話を聞いてから、パンの世界もユダヤに・・・
どうでもいいけど、私は、クロワッサンの方が好き!

「ランスへの旅」楽しいですが、マイナーですよね。
ウィーンのが、映像で出る出る・・といいながら出ませんね。
by keyaki (2005-11-29 10:41) 

keyaki

ヴァラリンさん、ありがとうございます。
お留守番をブレーチェンがちゃんとしているようですね。
訪問してくださってありがとう! いつでも大歓迎ですよ。
by keyaki (2005-11-29 10:48) 

なつ

>シドニー卿イギリス国歌
あれあれあれ?"Tempesta nel mio cor"!?

終わりの"Basta, basta!" < 89年の引越公演では、ダーラ@トロムボノクの男爵は"Stop, stop!"とフルラネット@シドニー卿を止めてたという、妙に細かいことを思い出しました。
by なつ (2005-11-30 00:02) 

keyaki

さすがなつさん
ルーナ伯爵のもそうだし、エルナーニのシルヴァのアリアも同じなんですよ。
バスとかバリトンのアリアはこの形で締めくくるのが定番なのかしら。

なつさんは見に行かれたんですよね。ドン・プロフォンドのアリアは、ニッポンジン!ヴァージョンもあって、会場が沸いてましたね。
by keyaki (2005-11-30 02:06) 

Sardanapalus

わ、レイミーのイギリス国歌もありがとうございます!わっはっは、おっかしい~。いっぱい装飾音ついてますね。カデンツァも、合いの手のタイミングも素晴らしい♪これ、今度のスポーツイベントの開会式とかで誰かが歌ったら面白いのに!イタリア語で(笑)でも、歌うとしたらターフェル?はイメージが違うし、トムリンソンあたりじゃ渋すぎるかなぁ。勝手に脳内で想像して楽しませていただきます。
by Sardanapalus (2005-12-01 11:14) 

keyaki

Sardanapalusさん
傑作でしょ。あのクソじゃない、生真面目な感じのレイミーだから、なおのことおかしいですよね。
1984年の初演の時は、やってないんですよ。
by keyaki (2005-12-02 00:43) 

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