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RRのエピソード:声楽授業(17)ボローニャ音楽院-6- [ L.Magiera著:RR]

文中にフランス語の慣用句?諺?があります。どう訳していいのか悩んだ末、そのままにしています。どなたか教えて頂けると嬉しいです。
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9月8日の記事の続き。
1961年ボローニャ音楽院の教授として勤務していたレオーネ・マジエラ(26才)はルッジェーロ(19才)の声楽の教師となる。1963年、ボローニャ音楽院での勉強も2年目となる。

(私=レオーネ・マジエラ)
そうこうしている間にも、私達は、音楽院で、二つの楽譜、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」グノーの「ファウスト」を熱心に勉強した。これらのオペラの両方とも、ルッジェーロは、声の美しさと登場人物との一体化で、私を唖然とさせるくらい完璧なものであった。
ある日、私は、彼に言った。「君のお母さんは、"紙っ切れ"(ディプロマ)のことはあきらめなければならないかもしれませんよ」

「何を言いたいの?」ルッジェーロは言い返した。私達の間には、ほんの少しの年齢の違い(5才)があったが、親密さを示す呼び方"tu"をお互いに使う間柄だった。

「そう、今年度の次は、君は第3学年です。劇場支配人とかエイジェントは、君をマークして、君をデビューさせようとすると思いますよ。」
「うーん、そうですね、悪いことじゃないですね」ルッジェーロは笑いながら言った。
「実は、それどころか、今まで内緒にしてましたけど、あなたに告白しなければならないことがあります。実は、スポレートのコンクールに登録しています。これは、あなたもご存知かと思いますが、劇場にデビューする機会を与えてくれるコンクールです。勝手に申し込んでまずかったですか?」ルッジェーロは、私の反応にちょっと心配して尋ねた。
「いいえ、ルッジェーロ、君はすでに私がそのことを考えていることを知っているでしょう。もし、私達が、いつの日か、勉強を続けられられなくなるようなことになったとしても、思い出して下さい。まあ、でも、ローマには、ピエル・ヴェナンツィ先生がずっといます。私は、この愉快な高齢の先生と知り合いになりたいですね、、、」

「いいですよ。とにかく私は、第3学年を終了したいと思います。ディプロマは、ないよりもあったほうがいいでしょう。それに私の母は、このことに関して世間知らずですから、本物ではなくても、ディプロマと思わせることもできます。」
「ルッジェーロ、歌手になるためにディプロマはいらない。現在最も重要な歌手達にディプロマを取っているかどうかを聞いてみて下さい。君は、それは100%重要でないとわかっているでしょう。さあ、勉強を始めましょうか。私達は最終的な発表会に近づいています。そしてプロイエッティ学長は、テアトロ・コムナーレのオーケストラ伴奏で、君が、ロマンスを歌う水準にあるかどうか私に尋ねました。」
「しかし、どうして、サラ・ボッシでジャック・イベールの室内楽を演奏する必要があるのですか?」

「それは、取り消されました。現在の芸術監督はValentino Bucchi ですが、テアトロ・コムナーレの指導による共同制作に出演することに合意したので、音楽院の生徒達は初めて、Bibbienaの大きな会場に出演するように要求されるでしょう。そして、君は、少数の選ばれた人達のうちの一人になるでしょう。」
"A la guerre comme a` la guerre"」ルッジェーロは穏やかに言った。
「何を歌えばいいのか助言してくれますか?」
「モーツァルトのスタイルに君が精通しているのを実証するために" De vieni alla finestra "と19世紀のオペラの重要なレパートリーの"Tu che fai l'addormentata"はどうでしょう」と私は提案した。
「いいですね、賛成です。私達はもう一度それらを復習しましょう。」 ー続くー

※"A la guerre comme a` la guerre":
フランスではよくつかわれる慣用句のようですが,適切な日本語をどなたか教えて下さると嬉しいのですが、、。

※Valentino Bucchi(1916.11.29-1976.5.9 イタリア)作曲家
※" De vieni alla finestra ":「ドン・ジョヴァンニ」
※"Tu che fai l'addormentata":グノー「ファウスト」


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コメント 4

>>A la guerre comme à la guerre
白水社の仏語辞書でguerreを引いたら、そのまま出ていました。
「戦時には戦時らしく」→転じて→「非常時だからやむを得ない」
だそうですー。ちょっと砕けた言い方のようです。
しかし、いきなりフランス語の慣用句で答えるなんて、まったくー(#^.^#)です
by (2005-09-12 10:30) 

keyaki

りょーさん、ありがとう。
>→転じて→
というのが知りたかったんですよ。
一日思考停止状態で悩んじゃいました。
わざわざフランス語で言うってことは、当時そういう言葉がフランスで流行っていたのかしら??

音楽院とテアトロ・コムナーレでなにかもめてて、急に決まったってことかしら?
これが何月頃の話とか書いてないので、イマイチ状況がつかめないんですよ。
会話が多いのも楽なようで、下手すると、どっちが言っているのかアレレーーーなこともあったりします。

いつも読んでくれてありがとう!
by keyaki (2005-09-12 10:52) 

Sardanapalus

わ、keyakiさんとこの広告はイタリア語関連だ(笑)
ディプロマは結局…どうなるんでしょう!?ワクワク(^_^)

>>A la guerre comme à la guerre
>わざわざフランス語で言う
イタリアでのことは分からないのですが、イギリス(というか英語圏)ではちょっとしたことをフランス語で表現するのがおしゃれというか、教養のある人の間では当然だったりするので、ライモンディは意識せずに使っているかもしれませんね。(使いすぎるとただの嫌味な奴ですが)イタリアには該当する諺が無いとか?フランスの、良くも悪くもちょっと高慢な感じを劇場上層部のごたごたの高慢さに引っ掛けているのかも?

>音楽院とテアトロ・コムナーレでなにかもめてて、急に決まったってことかしら?
私にはそう読めました。前もって決まっていたことが急にキャンセルになって、代わりのプログラム(?)を急に作らなくちゃいけなくなったから、プロじゃなくても才能のある学生を誰でも呼んで来い!という状況だ、と言っているのかな?と。
by Sardanapalus (2005-09-12 19:19) 

keyaki

どうやら、4年間いないと卒業資格はとれないようですね。
ラテン語が出て来たり、フランス語が出て来たり、、、注釈をつけて欲しいですね。

お母さんにしてみれば、末っ子のルッジェーロだけが悩みのタネだったんでしょうね。とても内気で、読書好きないい子だったそうですけど、冗談を言うのは大好きだった、、、とか。
ママも本を読まなきゃダメだよ、、なんてよく言われたそうです。
by keyaki (2005-09-13 11:09) 

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