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オペラの演出"ファジョーニ/ドン・キショット"その2 [オペラの演出]

ピエロ・ファジョーニ(Piero Faggioni 1936- イタリア カッラーラ)
ヴェルディ音楽院で音楽をカトリック大学で法学を修め、1960年ローマのシルヴィオ・ダミーゴ国立演劇芸術アカデミーを卒業。イタリアの最も優秀な俳優に与えられるノーチェ・ドーロ賞受賞。その後、ジョルジョ・ストレーレル、ルキーノ・ヴィスコンティ、ミケランジェロ・アントニオーニ、ルネ・クレールなどの最高の指導者のもと俳優として、また、演出助手として活動した。1963年、ジャン・ヴィラールと出会い彼のオペラ演出の助手としての仕事が、オペラ演出の分野に関心を持つ契機となった。1964年にフェニーチェ歌劇場での「ボエーム」で演出家としてデビューした。
ちょうどその頃にR・ライモンディと出会う。ファジョーニと出会ったことで、R・ライモンディの歌役者としての第一歩がはじまることになります。ライモンディ出演の主な演出は、1966年ファウスト 1967年フィガロの結婚 1972年ボリス・ゴドゥノフ 1982ー2003年ドン・キショット 1983年ファウストの刧罰 1980ー1985年カルメン、、、、
R・ライモンディとピエロ・ファジョーニ:
恐ろしく背の高く(198cm)、無口で、大きな茶色の瞳をもち、ひどくおずおずし、フランケンシュタインのようなぎこちない動作の学校を出たての若者」と初めて会った時のことを今でも鮮に思い出す。
「何年もピアノの前で呼吸法の練習ばかりし、演技の訓練は全く受けてない若者によくある例なのですが、要するに体の動きと声を連携させることができないのです」
ライモンディは1966年はじめての大役メフィストに抜擢される。(ファジョーニ演出)
ファジョーニは、ライモンディがスポーツ好きで、体の動きと音楽のフレーズの調和をはかる能力があることが分かっていたので、ローマで個人的にライモンディの演技の集中訓練することにした。
このことは両者にとって「非常に満足すべき」成果をもたらし、長年の友情とプロとしての協力体制の基礎を築くこととなった。
ヴェネツイアに戻り、最初のリハーサルで、とてもメフィストの役をこなす演技力はないと踏んでいた合唱団員達は、ライモンディが所狭しと舞台を駆け回り、1メートルはあるテーブルから飛び降りるのを目の当たりにして、大喝采だったそうです。
ライモンディとファジョーニの関係は歴史的プロダクションといわる1972年のボリス・ゴドゥノフと次の「フィガロの結婚」以来しばらくは疎遠気味になっていた。 幸運にも彼等の友情と相互の敬愛は非常に強く、意見の相違を超えて、1982年にはすばらしい『ドン・キショット』のプロダクションで再び共演を果たした。これは、ライモンディがこのオペラをやりたいという強い希望を捨てなかったためである。
「我々は二人とも、かなりナイーヴで理想主義的な面を残しています。二人ともオペラに自分のアイデアや主義主張を表現する可能性の余地があるのを認めるからこそ、この仕事を愛し、喜んでやっている。ルッジェーロは私ほどナイーヴでも理想主義的 でもありませんが、それでも彼は、見果てぬ夢を追い続け、自分が住むべく生まれて来たこの世界から疎外されているという理想主義的な面を残しているのです。」

ファジョーニとライモンディの『ドン・キショット』1982年初演時の評:
「ライモンディの役作りは見事である。コントロールが行き届き、完璧に判断されたダイナミックと彩りも見事な、流れるような声質は特記したい。ライモンディは今や押しも押されもしない国際的な歌手だが、この度の公演で、役柄の興味深い性格に再び触発されたようだ。」

ライモンディがファジョーニについて語る:
実際ライモンディはファジョーニを「私の人生を変え、創造的な方法で、私のひどい内気を直してくれたひと」という。 「キャリアの初期に、ピエロ・ファッジョーニに出会いました。彼も同じキャリアを選んだのです。基本的に私はとっても恥ずかしがり屋ですが、彼のおかげで、舞台で必要な自信を持つことができました。私は非常に狭い世界で生きていましたし、プロの歌手であるということは、注意深くあらねばならぬと思い込んでいました。出かけるな、煙草をすうな、酒を飲むな、女に近付くなというようなことが必要だと思っていました。ピエロのおかげで、別の自我、別の人格を発見できました。もうひとつ感謝している事は、オペラに演劇の要素を加味することを教えてくれたことです。これは、めったに得られないような恩恵だと思います。」(マテオプーロス著ブラーヴォー、インタヴュー記事より)
ついでの話:
ファジョーニとRRのこの『ドン・キショット』は、2003年1月トリノではじめてRR以外の歌手で上演されました。主演はミケーレ・ペルトゥージ(1965 イタリア パルマ)こちらにレビューと写真があります。

※関連記事:
オペラの演出(ピエロ・ファジョーニ/ドン・キショット)その1
RRと指揮者(10)ジョルジュ・プレートル1986年の『ドン・キショット』リハーサルのビデオクリップをご覧頂けます。
『ドン・キショット』公演一覧
※写真)2004年9月29フェニーチェでの「Una Vita nella Musica」受賞式とガラコンサートのポスター


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コメント 2

euridice

演技者としての自覚をしっかり持っているオペラ歌手、どのぐらいいるのでしょうか? しばらくオペラ歌手と演技についてまとめる予定ですので、TBさせていただきますね。
by euridice (2005-06-14 11:09) 

TARO

そんなわけで、こちらにTBさせていただきました。
HPのリンク、ありがとうございました。
by TARO (2005-09-04 13:45) 

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