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"オペラ歌手"のことを書くプロの人達の不思議(3) [RRのはてな?の紹介文]

R・ライモンディに関する「不思議な感じ」の記述 シェピとRRのトスティ「魅惑」をどうぞ!
シェピのCDのリブレットの記載
チェーザレ・シェピ(1923ーイタリア ミラノ)
・・・80年代になっても舞台では永く活躍したにも拘らず、録音活動は60年代で途絶えた・・・
シェピの声はバルカン系のバスには求められない艶と澄んだ響きを持った、真のベルカントのバッソ・カンタンテだった。後継者と思われたルッジェーロ・ライモンディが期待外れに終わり、ギャウロフたちのバルカン勢にイタリア・オペラの主導権を明け渡してしまった現状を見ると、まだまだ十分に歌えたシェピに、もっといろいろなレパートリーを録音しておいてほしかった。(河合秀明)
◆期待外れ
おやまぁ、!ですね。シェピのCDの解説にライモンディの名前を出すのは不思議な感じです。なにを根拠にそこまで言うかですね。十分すぎるくらい活躍してますでしょう。これ以上なにを求めるのかしら。
シェピは、私にとっては、半分ヒストリカルに足をつっこんでいる歌手ですから、素晴らしいことは重々承知していますが、ただそれだけです。
ネットを散策していて感じることは、シェピのファンは、彼の素晴らしさを語っていればいいのに、なぜかライモンディを引きあいにだしますね。どうやら、ヒスオタと言われる人達の特徴のような気がします。今、活躍中の歌手をけなすことによってしか、彼らの素晴らしさを語れないのでしょうね。
(ヒスオタというのは、ヒステリックなオタクという意味かと思ってましたが、ヒストリカル、つまり古ーーい録音を好んで聴く人達のことのようです) .......................................................................................................................................... ライモンディ主体のインタビューになると、シェピの話題もこのようになります。 音楽の友2002年ボローニャ歌劇場来日公演の時のヌッチとライモンディのインタビューから(取材・國士潤一):

ーライモンディさんがデビューされた頃は、イタリアのバス歌手というとチェーザレ・シェピの後は、スラヴ系の歌手の進出が目立っていて、その中で孤塁を守っていた感がありました。「イタリアの声」という点では、シェピも貴方も特別なものがあります。

RR:音色の美しさがイタリア人歌手の特徴でもあります。ただ、ギャウロフは、素晴らしく大きな声で、音色も美しいし、ボリス・クリストフで言えば、声の美しさは確かに一段劣りますが、表現力がすばらしい。 一方、イタリアのバスで言えば、シェピはピンツァに近い非常に暗い音色を持っていましたし、ジューリオ・ネーリというフィレンツェ出身の2メートルの長身のバス歌手の暗い音色も忘れ難いものでした。 バスの音色というのは、ドラマティコとカンタービレと、その上のバス=バリトンに分類できますが、ネーリはドラマティコ、シェピはカンタービレ、僕は初めからバリトンの役も歌えないこともないバス=バリトンの声だったのです。

「スカラ座の名歌手達」では、下記のように語っています:
1968年にメトロポリタン歌劇場の総支配人ルドルフ・ビングが、イタリアへ新人を捜しに来たんですがね、僕の歌を聞くなりメトとの契約を申し込んできたんです。・・・1950年に当時27才だったシェピをアメリカに紹介したのは自分だと自慢したりもしましてね、・・・君はシェピ2世だ、だから君は私の手でアメリカ人に知らしめたい・・・・」
RRは、メトにも出演しましたが、シェピのようにメトをメインにはしませんでした。
期待外れだとか、シェピに及ばないと批判する人達が何を求め期待しているのか見当もつきませんが、デビュー以来、常に第一線で活躍し続けていることを評価しないのは不思議な感じがします。

※上の写真をクリックするとMP3で、二人の「イタリアの声」が聴けます。どちらもいいですね。
トスティ作曲「MALIA 魅惑」:チェーザレ・シェピ(1961.6録音) R・ライモンディ(1984録音)

ついでの話:
私は、ライモンディ関連以外のCDは、一通り聴いたら、オークションに出品して、CDを増やさないようにしています。
このシェピのCDも出品するためのコメントを書くために、その時はじめて解説書を読んで、愕然としたわけです。こんなことを書いてあるのは売れない!他の人には見せたくない! なぁんてことで、未だに手元にあります。それにシェピの声は嫌いではないですから。イタリア系低音歌手でも嫌いな声もあるんです。


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ヴァラリン

先日の『思いつくまま、私の好きなオペラ歌手』にも書きましたが、シエピは好きな歌手です。と言っても、熱烈なファンというわけではないのですが・・^^;

RRさんとシエピは、全然違うタイプだと思います。レパートリーも被っているものも勿論ありますが、違うものも多いのではないかしら?シエピは、スカルピアを歌える音域ではないですし・・

(例によって、あまりこちらは得意分野とは言い難いので・・間違って認識していたらごめんなさい^^;)

録音を聴かせて頂きましたが、どちらもそれぞれ、違った魅力があります。

シエピが'60代で録音活動が途絶えたことと直接関係しているかどうかはわかりませんが、実は彼、'62頃からミュージカルにも進出していたそうです。
興行的には大失敗だったそうですが、本人はかなり熱を入れていたようです。それこそコテコテの『ヒスヲタ』の人たちは、あまり知りたくないことかもしれませんね(^^;
直リンクは控えますが、『シエピ』で検索をかければ、詳しいページが出てきます。

それにしてもこの解説者、私も手持ちの本で『???』と思った記述が色々ありましたよ(^。^;
by ヴァラリン (2005-05-10 07:05) 

euridice

え〜〜 RRは幸いお元気で今も現役バリバリで活躍中ですから、こういうええ加減な記述は、まあ、笑止千万!と笑殺! 一笑に付せばよろしいわけですが、我がPHの場合は・・・一筋縄ではいかないのが、つらいところです`0´)
by euridice (2005-05-10 08:28) 

keyaki

>'62頃からミュージカルにも進出していたそうです。
取り上げた解説書にも書いてあります。こんな風に。
「'62には、ブロードウェイでミュージカル・コメディ《ブラヴォ!ジョヴァンニ》に出演したほどで、歌唱にもバス歌手にはめずらしく粋な色気があり、コール・ポーターの歌を集めたアルバムも当時は評判になった。バスにありがちな重苦しさがなく、しっかりした歌いぶりとともに、伸びやかで爽やかな人間性が横溢したできばえとなっている。」

バスにありがちな重苦しさがなく・・・・からはそのままRRに使えますね。ハハッ
RRもブロードウェイには、具体的な話で再々誘われていたようですが、「いつになったらそんな時間がとれることやら・・」と時間がないということで断っていたようですけど、彼のことですから、その舞台に魅力を感じていなかったということでしょう。
RRは、シェピとは'73同時期に「ドン・ジョヴァンニ」でメトの舞台にたってます。そしてシェピは'73、4月がドン・バジリオがラスト・パフォーマンスですね。メトに関してはRRと交代ということでしょうか。

euridice さん、
>笑止千万!と笑殺! 一笑に付せばよろしいわけですが
その通りですが、ドキッとしますし、こういう《一方を持ち上げるために他方をケナすという手法》の影響が明らかにありますね。知ったかぶりのオペラ愛好家には。ネットを散策していてヒシヒシと感じますヨ。
by keyaki (2005-05-10 09:55) 

NO NAME

>今、活躍中の歌手をけなすことによってしか、彼らの素晴らしさを語れないのでしょうね。
>ヒスオタというのは、ヒステリックなオタクという意味かと思ってましたが、
>こんなことを書いてあるのは売れない!他の人には見せたくない!
>《一方を持ち上げるために他方をケナすという手法》の影響が明らかにありますね。知ったかぶりのオペラ愛好家には。

なんだか今日のkeyakiさん、絶好調です!

>後継者と思われたルッジェーロ・ライモンディが期待外れに終わり、ギャウロフたちのバルカン勢にイタリア・オペラの主導権を明け渡してしまった現状

これは明らかな間違いでしょうね。
スラヴ系の歌手が主導権をとっていたのは60年代と見るべきで、ライモンディが期待通りだろうと期待外れだろうと、バルカン勢の歌手の活躍とは関係ありません。

70年代に入ると、スカラ座のシーズン・オープニングを歌えるようなスラヴ系バス歌手はギャウロフ一人になるわけですが、そのギャウロフも80年前後には既に声の衰えが指摘されてました。(実際私は76年、79年、81年とギャウロフを聴いていますが、76と81では顕著な違いがありました。)

ライモンディと活躍期間が重なるスラヴ系の歌手は、ギャウロフよりもむしろネステレンコですが、彼の場合はいつもスタイルの問題が指摘されていて、イタリア・オペラの歌手としては全面的に受け入れられたというわけではなかったようですね。ボリスとかは素晴らしかったですが。
by NO NAME (2005-05-10 10:33) 

TARO

すみません。上のNO NAMEはTAROです。
by TARO (2005-05-10 10:34) 

keyaki

TAROさんにコメント頂けると嬉しいです。
実際のオペラ界の流れもよくご存知ですし。
私の場合は、何を言ってもファンの独りよがりだと思われるのではないかと躊躇する部分もあるんですよ。

ブログは、カウンセリングの効果もあるそうですね。
だから、これだけ流行っているのかもしれません。
今まで、一人で、なんでなの?なんて悩むほどではないにしろ、心の中にしまっていたことを吐き出しますヨ。

間違いとか、おかしなことを書いたら、遠慮なくご指摘下さい。
by keyaki (2005-05-10 11:06) 

ヴァラリン

>その通りですが、ドキッとしますし、こういう《一方を持ち上げるために他方をケナすという手法》の影響が明らかにありますね。自分も気をつけなくちゃぁ・・って思います。

例えば、自分は聴いたことがあるけれど、お友達は聴いたことがない方について、こんな感じの声なのよって説明する時に『○○さんみたいな感じ・・』と言えば、想像がつきやすいかしら?と、余計なことを考えた結果、比べているのかもしれません。反省、反省(--;

それにしても好みの問題とは言え、何故ここまでヒートアップするんでしょう?^^;

>RRもブロードウェイには、具体的な話で再々誘われていたようですが

そうなんですか。よくあるお話なのかもしれませんね。
やるやらないは本人の意思ですが、ミュージカルに進出したオペラ歌手はPHだけじゃないじゃないのお~~って、思ったのでした(^。^;
by ヴァラリン (2005-05-11 00:17) 

ヴァラリン

ぎゃっ?!最後の文章、変ですので訂正します
×→ミュージカルに進出したオペラ歌手はPHだけじゃないじゃないのお~~って
○→ミュージカルに進出したオペラ歌手はPHだけじゃないのよぉ~~って
・・失礼しましたm(__)m
by ヴァラリン (2005-05-11 00:19) 

TARO

>ブログは、カウンセリングの効果もあるそうですね。
だから、これだけ流行っているのかもしれません。

それは面白いですね。
同じ心の中を吐き出すのでも、たしかに紙に書く日記が完全に自分の中だけで処理されるのと違って、ブログは誰かが聞いてくれる・読んでくれるというのが、ある種の心理的効果を持つのかもしれませんね。

不特定多数の人が読むことを前提とした日記というのは、(作家が意図的に書くのを別にすれば)まったく画期的なものですが、なかなか研究の余地があるかもしれません。
by TARO (2005-05-11 00:36) 

euridice

ヴァラリンさん
どっちも○です。

ミュージカルに進出したオペラ歌手はPHだけではない=だけではないではないか=他にもいる 

ああ、ややこしい・・ 頭がこんがらかったので、寝ます。
by euridice (2005-05-11 00:37) 

keyaki

ヴァラリンさんの情報で、シェピのファンサイトを見つけて読んできました。

プロフィールが1973年以降、続きがまだ書かれてないんですよ。そこからが知りたかったんですけど。
まあ、シェピの時代の歌手は50才くらいで引退が普通だったのかもしれませんね。

RRは、誘われたけど断ってます。シェピのサイトを読んで思ったんですけど、彼が失敗したのを知って、やめたのかもしれませんね。それに英語ですしね。
RRは、フランスの演劇祭で、一人芝居をやったり、映画に出たりですね。
by keyaki (2005-05-11 00:46) 

にぃにぃ

>RR:音色の美しさがイタリア人歌手の特徴でもあります。ただ...
↑好きな歌手だからひいきしているみたいで気が引けますけど、RRのこのコメントが好きです。
率直で、誰の名誉も傷つけない。
的確だけど批評家ぶらない。
公平であたたかな見方をしていると思います。

中傷まがいの暴言を批評と信じている、どこかの”評論家”に読ませたいわ
これが人を批評する基本姿勢なんですよって。
by にぃにぃ (2005-05-11 21:26) 

ユルシュール

前回のギャウロフの話、そしてこのシエピの話をうかがって、思い出した話があります。
1960年代にヘルマン・プライがMETに呼ばれて歌った時、休み時間に『ドン・ジョヴァンニ』のリハーサルを覗いて、シエピのドン・ジョヴァンニに感動して近くにいた合唱団員に「なんて素晴らしいんでしょう!」と言ったところ、三十年来METで歌ってきたというその合唱団員は「あなたがピンツァを聴いていたらねえ」と答えたという話です。
もしもピンツァが舞台で歌っていたならば、この合唱団員は「あなたがスコッティ(ピンツァの一世代前に活躍したバス歌手)を聴いていたらねえ」と、スコッティが歌っていたならば「モレル(さらに昔に活躍したバス歌手)を聴いていたらねえ」と言っていたのではないか……とプライは自伝で綴っており、「彼のような心性の人には、よりよいものがよいものに対抗するのではなく、古いものが新しいものに対抗するのだ」と述べています。
ギャウロフに関しても、以前「クリストフに比べるとまだ……」などといった評論を見かけたことがありますし、これは結局、「古いものと新しいものとを対抗」させたがる人々の心理の問題なのでしょうね(私はこれを勝手に「昔は良かった」症候群と呼んでいます)。
評論家がこういった考え方にとりつかれている限り、現在活躍する&これから芽を出す若い歌手たちが、往年の名歌手たちと引き比べられて実力を過小評価されるといった現象はこれからも延々と続くのではないかと思います。

>こういう《一方を持ち上げるために他方をケナすという手法》の影響が明らかにありますね。
ええ、本当に!!
keyakiさん、よくぞ、私が以前から不満に思っていたことを、ずばりとおっしゃって下さいました!こういった手合いの評論を、何度目にしてきたことか!もうほとほとうんざりです。
かく申す私も、気をつけないと、と改めて自戒したいと思います。
by ユルシュール (2005-05-11 22:24) 

keyaki

>三十年来METで歌ってきたというその合唱団員

とても示唆にとんだ話ですね。
まあ、合唱団員って、どうしてもやっかみが入っちゃうんじゃないかな。
関係ないですけど、最近のメトの合唱、私でもわかるくらいヘタです。

>かく申す私も、気をつけないと、と改めて自戒したいと思います。
私達は、まあ、節度をもってということですが、気楽に好きなことをいい合いましょう。一方的でないのがネットのいいところですし。

>にぃにぃさん
ライモンディは、歌手仲間からとても信頼されているそうで、リハーサルもライモンディが現れるとなにもかもうまく行くんですって。
ドイツのオペラファンによれば、ライモンディは、その場にいない人の悪口は決して言わない・・・とブレンデル(ドイツのバリトンでけっこう共演してます)が話していたそうです。
by keyaki (2005-05-12 01:53) 

euridice

>合唱団員
「トスカの接吻」ってドキュメンタリー映画でも、この方々の「屈折した心理」が出てましたねぇ〜〜 
by euridice (2005-05-12 09:21) 

おさかな♪

keyakiさん
>リハーサルもライモンディが現れるとなにもかもうまく行く・・・
>その場にいない人の悪口は決して言わない・・・
ますますRRさんの大・大ファンになりました♪(*^-^*)
by おさかな♪ (2005-05-12 16:19) 

yumemi

ヒスヲタ?の方々の事は放っておくのが一番でしょうね。
シェピは好きですが、ライモンディはライモンディです。
50年前の歌手達と比べると現在の歌手達の声質、音程は全体的に軽くなって来ていると思うので(これは某テノールサイトで話題になっていた話です。 カラヤン以降の傾向だそうで)、
例えば手前味噌な例だと、フローレスの声なんてあの当時にしてみれば女のような声でしかなかったでしょう。 当時の『ロッシーニ・テノール』はもっと低い、男性的な声でしたから。 だからこそ、その共演者のフィガロも、例えばバスティみたいなほとんどバッソな声でよかった。 ドン・バルトロも、シェピが歌ってちょうど良かった。 でも今はフローレスがアルマヴィーヴァ、スパニョーリがフィガロで、プラティコがドン・バルトロでちょうど調和が取れている。 その中でライモンディがドン・バジリオを歌うとまさにぴったりなんですよ。 で、はっきり言って、その昔の理髪師は確かに声の饗宴ではあるけれども、今の私には重いんです。 現代バージョンの方が、ロッシーニらしい軽快さがあると思うんです。 
それが許せない、昔礼賛者は勝手に昔を懐かしんでいてください、と思いますね。 
by yumemi (2006-12-08 11:24) 

keyaki

yumemi さん、私の愚痴におつきあい下さって、ありがとうございます。
ライモンディは、自分でも言っているように、深いバスではなくて、バリトンが歌えなくもないバス・バリトンということで、普通はバリトンが歌う、スカルピアとか、エスカミーリョでも成功しているわけで、それぞれどっちがいいとかではないと思います。この解説を書いた方は、シエピに対しても失礼だとおもいます。彼自身の功績を書くべきでしょう。しかもこのCDは、イタリア民謡のCDですよ。
今、改めて、みなさんのコメントを読んでみると、なるほど、ですよね。みなさんの意見がきけるのがネットののいいところですね。ブログとか掲示板
by keyaki (2006-12-08 13:33) 

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