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"オペラ歌手"のことを書くプロの人達の不思議(1) [RRのはてな?の紹介文]

オペラ名歌手201オペラに親しむようになり、今まで、見向きもしなかった、オペラ歌手の略歴+評価が書かれている出版物、リリースされたCD、DVD等の解説書、オペラの公演についてのレビュー等に目を通すようになりました。興味のある歌手についてだけですが。
ブログ仲間のedcさんが、「ある歌手の半生と意見」というHPを立ち上げたのも、また、今回ブログで連載を始めたのも「ある歌手」=ペーター・ホフマンについて、日本で目にする評価があまりにも毀誉褒貶が激しく、そのことについて不思議な感じがしたことがきっかけだということです。
インターネット時代の到来により、海外の情報も誰でも入手できる昨今、その情報が正確か妥当であるかはさておき、edcさんならずとも、私もいろいろ首を傾げるような『不思議な感じ』がしています。
実は、先日、edcさんの記事「歌手になる経緯(2)ジークフリート・イェルザレム」のコメントで「そうそう、ルチア・ポップの夫って書いてある注1)がありましたが、これってほんと?」と尋ねました。ドイツオペラに詳しい方々の反応は、えぇ!?でした。
結論から言えば、明らかな間違い。思うにペーター・ザイフェルトとジークフリート・イェルザレムを執筆者が取り違えた注2)のかも知れません。出版側のチェックの問題か、結婚歴をわざわざ書いた執筆者側の問題か、まあ、両方でしょう。
この本は、歌手の選択にも問題があると思います。私はドイツ物は積極的には聴いていませんが、それでもペーター・ホフマンはワーグナーでははずせない、少なくとも201人の中には入る歌手だと思います。それなのに、完全に抹殺しています。(どういう条件で選択したのか知りませんが)
さて、私の場合は、R・ライモンディを中心にオペラに親しんでいるわけですが、彼も、ペーター・ホフマンほどではないが、毀誉褒貶あります。 『日本で"オペラ歌手"のことを書いてお金をもらう人達』の"お気に入り"、何をやってもOKなのはドミンゴくらいではないかと思うのは、私だけでしょうか。
ライモンディとホフマンは、ほぼ同年ですが、個人的な接点はありません。しかし、不思議なことに、オペラについて同じようなことを言っている・・・と感じることが多いので、似た者同士かな・・・と親しみを感じています。
次回は、「不思議な感じ」がする、実例をあげていきます。

注1)ここで話題にしている「本」は上記写真の本です。Amazon Webサービスという機能でリンクしています。(ソネットさん、これは便利ですヨ)イェルザレムの執筆者:井辻朱美

注2)ジークフリート・イェルザレムのエイジェント(ネットで調べればすぐわかります)にedcさんがメールで聞いて下さいました。
現時点で、出版社と執筆者がミスに気づいているかどうかはわかりません。
※出版社に問い合わせたところ、改訂版では「ルチア・ポップと結婚云々」は訂正したそうです。(2005.4.11追記)


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euridice

>ジークフリート・イェルザレム(T)
1944-/GERMANY「数年前に亡くなったルチア・ポップ(S)は彼の夫人でもあった。」という記述ですね。

誕生年も私が見た他の複数の出版物やネット情報では 1940年となってます。

他人の結婚歴などどうでもいいとはいえ、どうでもよければ書かなければよいのであって、読み捨て雑誌というわけでもないちゃんとした活字メディアなら、読者は信用するのが大前提だと思います。

受け手の取捨選択が必要と言っても、じゃあ何を根拠にするのでしょうか。要するに信じたいものは信じ、信じたくないものは信じないということだとすれば、妙な話です。

エージェントからは折り返しのような素早い返信がありました。この回答の真偽に関しては裏事情などはあるにしろないにしろ、公式の真実であると言えると思います。

文筆を職業とする人が何故不確かな、しかも、いわば書く必要もないことをあえて、活字にするのか、理解できません。
by euridice (2005-05-08 18:24) 

にぃにぃ

>"オペラ歌手"のことを書いて金を稼ぐ人達の不思議
>ちゃんとした活字メディアなら、読者は信用するのが大前提だと思います。
本当に、激しくそう思います。
私がファン心理からR・ライモンディの経歴を調べたのは、
keyakiさまがここで挙げられている本(2000年発行)の前身『オペラ ハンドブック』(93年発売)という本でした。オペラ関係の本はこれがはじめてでした。
ここで、ライモンディの項には
”この偉大なバスの後継者と期待されたが、ボリスやフィリッポⅡでは聴衆を
悲痛な感動に引き込むまでには至らず、ギャウロフの域まで達しなかったの
は、すばらしい素質をもっているだけに残念”
と書かれていました。
誹謗中傷と言えるかどうか、ともかくそれから10年位、つい最近までこの一文
が頭から離れませんでした。
この間ずっとギャウロフさんをすばらしいと思いつつ、好きになれませんでした。
先年惜しくも亡くなられた大バス歌手を引き合いに出して、しかもこんなことを言ってしまってファンの方に申し訳なく思います。
この人のせいで自分が好きな歌手を貶められたように思えてつらかったのです。



誹謗中傷といえるかどうか、
by にぃにぃ (2005-05-08 22:40) 

keyaki

euridice さん
エージェントに確かめて頂いて、感謝です。これですっきりしました。

にぃにぃさん、

そのことは、すでに第二弾として下書きしてるんですよ。
明日アップ予定です。
でも、いやなことを思い出させてしまいますね。
ファンだと、かえって反論しにくいという心理もあったりしますね。

「誹謗中傷」というか、全くの個人的趣味で書いている文章でオペラ歌手の紹介文としては不適切としか思えません。
明らかな間違いもありますし、いかにいい加減な記述かということの証明にもなりますね。
by keyaki (2005-05-08 23:10) 

にぃにぃ

ありがとうございます。
やっぱりご存知でしたか。もう今はこだわってませんが、悲しいですね。
でもこのすばらしい両歌手の活躍を見ていれば真実はおのずとわかるものですし、
ライモンディのファンサイトが日本にあって、しかもkeyakiさまのような良識ある方がこうして問題提起してくださっていることに大変励まされます。
by にぃにぃ (2005-05-08 23:28) 

aki

keyakiさん、またお邪魔します。

私は学生時代に、学術論文でも間違いがあること、
どんな本にも「かならず」誤植があること、
翻訳の下書きとか資料調べなどは部下や学生にやらせていることが多い
(のでチェック漏れがあるとトンデモないミスがある)こと、
などなど…を知ってから、書かれているものをあまり信用しなくなりました。
といっても、全部を疑っていても何もできないので、
ほどほどには信じておきますが。

といって、間違っていて良いわけはない、のは当然ですが。

それと、オペラ関係の本で理解不能なのは、
どう考えても初心者向けの案内本に
歌手に対して否定的な意見とか、
褒めてるのか貶しているのかわからない(気の利いた皮肉のつもり?)
書き方をしているところがあったりすることです。
ゴシップ・ネタも入門書にわざわざ書くこともないと思うのですが。

そうそう、ドミンゴ、一時期は「何を好んでいまさら二流のワーグナーを歌う必要があるのか」
とか言われてましたが、最近はあまり言われてないかもしれませんね。
(でも、「トリスタンとイゾルデ」のCDが出たらまたドイツ語が下手とか言われるかも。)
「もう先がないのに悪口はやめておこう」と思われているようで、
それはそれでちょっと寂しい。
by aki (2005-05-08 23:35) 

euridice

>どんな本にも「かならず」誤植があること>トンデモないミスがある
その通りだと思います。
事実関係の場合は、適当に読みとばすもよし、自分で調べ直すのもよし、です。(最近、他所のブログで読みましたが、誤訳がもとでモーゼには角があったと信じられてきたといったこともあるわけで、これはまあ実害はなかったにしても、大変な結果を招くこともなきにしもあらずですから、やはり出版には細心の注意をはらってもらいたいものです、それでも間違いゼロはありえないでしょうが)
しかし、後の話題、客観的記述を装っての、個人の趣味、好悪による書きちらし。こういうことを活字メディアでする「文化人」「知識人」って、何なんでしょうか? これはミスではないんですから・・
by euridice (2005-05-09 08:55) 

euridice

>「何を好んでいまさら二流のワーグナーを歌う必要があるのか」

私も目にしましたが、まあね、これは、彼の非ワーグナーは一流だと言っているわけですから・・^^; 

でも、すでに1968年にハンブルクでローエングリンで舞台に、1976年にはマイスタージンガー(ワルター・フォン・シュトルツィング役)の全曲録音(DG)
ローエングリン(1985)も、タンホイザー(1988)も全曲録音があったし、ローエングリンでは何度も舞台に立っているし、
「いまさら」ってことはないですね。

これは、アバド指揮ウィーンのローエングリン(1990年?)出演のころの記述だったと思います。風邪ひいて体調不良だったとかの・・・ 

それに、大概の評者は、彼のワーグナーは「朗々とした、艶がある、美声の、明るい、ベル・カントで歌われるワーグナー」だと絶賛だったと思います。
by euridice (2005-05-09 10:31) 

おさかな♪

オペラ歌手についてではないのですが、許光俊さんの「オペラ大爆発」っていう本に、「『オペラのキモは歌』なんて格言にだまされ、燃えかすの三大テノールに熱をあげているようではダメだ! 現代では聴くべき歌手はほとんどいない、という衝撃の実態をふまえ、新しくて楽しくてハッピーな許流現代的オペラ鑑賞法を伝授する。」って書いてありました。
この人のクラシックの本は良かったですが、この本は良く分かりませんでした。
特に「トスカ」は、オペラじゃなくて映画の感想が書いてあって、ちょっとがっかり。
思うに、「クラシックとかオペラに対して気合いが入りすぎ→ほぐそうと思ってなんちゃって本が出る→でも却ってよく分からない」っていう現象が起きてる気がします。音楽なんだから、普通に楽しく聴こう~。
PS:トスカの記事を書くときに、あまりに間違ったこと書いてないよな・・・って思って立ち読みした本がこれでした。でも、この本の内容もタイガイだったので、自信持っちゃいましたヨ~☆ keyakiさんのブログの方が100倍面白いです。
by おさかな♪ (2005-05-10 22:31) 

aki

>euridice さん

おっしゃるとおり、これは1990年の記事で、「ローエングリン」の特に最初の方は
風邪で調子が悪かった、という話でした。
その風邪のせいで、「ローエングリン」の前の英国ロイヤルオペラでの
クライバー指揮の「オテロ」を数公演、キャンセルしています。
ということで、引用部分の後には「(2流のワーグナーなど歌わないで)
クライバーとコンビの「オテロ」をもっと聴かせて欲しい」と続きます。

ドミンゴが褒められてない話を書こうと思ったのでオテロのくだりをはしょりました。
ドミンゴでも(少なくとも昔は)ちゃんと批判されていたのだ、
と主張したところで何の役に立つというのか…
こんな私こそ余計なお世話でございました。

ドミンゴのワーグナーについては「流暢に歌うベルカント風」であることが
評価を分ける点であり、このこと自体は当然と思います。
賛否両論があるうちが華、片方の意見しかないのは良くないと思いますので。
この頃までは(数の多少はともかく)私の目に触れるなかに「賛否」両論ありました。
が、ここ最近では「ベルカント風の歌唱には違和感を持つ」とか、
などなどといっておられた評論家氏が「なれたもの」とか書くようになってくると
ドミンゴの進歩を評価したとは到底読めず、もうどうでもよくなってきたのかな、
という心持ちがいたす次第です。
「現状ではベスト」っていうのも、増えましたね。「現状」が昔よりも
レベル・ダウンしてるってあたりが寂しいですが、まぁ仕方がないです。
by aki (2005-05-10 23:35) 

TARO

「オペラ歌手201」こんな突っ込みどころ満載の本を、いままで読まないでいたなんて!
というわけで記事にしちゃいました。keyakiさんにTB&リンクさせていただいてます。よろしくお願いします。
by TARO (2005-05-11 12:10) 

keyaki

TAROさん、楽しみにしています。
こんな歌手に1頁もさくの! というのもありますね。

追記で書きましたが、改訂版では「結婚云々」は訂正したそうです。
連絡した人がいるんですね。
by keyaki (2005-05-11 16:30) 

keyaki

akiさん、コメントありがとうございます。
>ドミンゴが褒められてない話
一般的に見て、日本のジャーナリスムでは、持ち上げることになっているのではないでしょうか。性格も含めて、「気遣いの人で聖人君子」ということで。
私なんか、例のメトの暴露本を読んで、変ないい方ですけど、かえって好感もちました。

私は、ドミンゴのワーグナーは聞いていませんが、「現状ではベスト」って、最高!っていうことではないですか? 
しかし、ワーグナーは年をとって歌うものということにいつからなっているのでしょうか。
ドミンゴは若いときから歌っていますが、フェントンをやってたような歌手がいつのまにかヘルデンテノールの役をやってますね。
by keyaki (2005-05-11 17:11) 

keyaki

おさかな♪ さんの言う通りですね。
私もこういう本は、歌手の年齢とかレパートリーがわかれば・・・とおもって見ていますけど、あまり個人的趣味で褒めちぎったり貶したりは、やな感じぃです。
CD評とかは読みませんが、けっこう影響力があるようですね。自分が良いと思っても、他の人がどう思っているのか気になるようですね。
>音楽なんだから、普通に楽しく聴こう〜
にnice!です。
それから、胡桃の佃煮にnice! ありがと!
by keyaki (2005-05-11 17:24) 

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